ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE (監督:クリストファー・マッカリー 2023年アメリカ映画)
「トム・クルーズがどこまで無茶するのか!?」をとことんまで追求する「トム君版ジャッカス」「風雲!トム君城」こと「ミッション:インポッシブル」シリーズ最新作、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE 』を観てきました。今回もIMAXだ!60歳以上だからIMAX料金が1800円なんだよ!どうだ羨ましいだろ!?
シリーズも1996年公開の第1作目から早27年、今作で7作目となるのだそうですが、全部観てるんだけどどんなストーリーなのかあんまりよく覚えてません!トム君が「トム君走り」を披露しているか、どっかでジャンプしたりどっかにしがみついているか、あと車やバイクを猛スピードで飛ばしているか、だいたいそんな記憶しかないし多分そんな映画だということでいいんだと思います。でもいいじゃないか!だってトム君映画なんだもん!
さて今作『デドレコ』、なんでも2部作の1作目という扱いらしく、この1作だけでは物語は終わってません。まあ物語なんかあってないようなもんだから観終わっても十分満足なんだけどな!タイトルとなる「デッドレコニング(Dead Reckoning)」は「推測航法」の意味で、「航行した経路や進んだ距離、起点、偏流などから、過去や現在の位置を推定し、その位置情報をもとにして行う航法のこと」を指すらしいです。なんだか分かり難い言葉ですが、要するに「今回も行き当たりばったりにストーリー作っちゃってます」という意味なんじゃないかと思います。でもいいじゃないか!だってトム君映画なんだもん!
【物語】IMFのエージェント、イーサン・ハントに、新たなミッションが課される。それは、全人類を脅かす新兵器を悪の手に渡る前に見つけ出すというものだった。しかし、そんなイーサンに、IMF所属以前の彼の過去を知るある男が迫り、世界各地で命を懸けた攻防を繰り広げることになる。今回のミッションはいかなる犠牲を払ってでも達成せねばならず、イーサンは仲間のためにも決断を迫られることになる。
面白かったです!上映時間が163分と結構長いんですが、その上映時間を目一杯使い、ひたすら追跡!追跡!追跡!逃走!逃走!逃走!脱出!脱出!脱出!しまくるウルトラトライアスロン映画、スーパーアスリート映画でした!もうトム君、「泳いでないと死んじゃう鮫状態」です。ひたすらアクションに次ぐアクションの連続で、そのアクションの合間に「えーとこういった理由でいろいろ大変なことになってるんです」という物語の説明が入る、といった作りです。つまりアクションが主体で物語は添え物です。でもいいじゃないか!だってトム君映画なんだもん!
今作でトム君はいったい何を追跡し何から逃走し何から脱出しているのか?というとこれが今作の最大の敵、「意識を持ったAI」なんですね。いやー流行ってますねAI!もうどこかの国家とか特定の集団だとかいった敵役も月並みになってきたし描くと差し障りが出てきたりしちゃうし、ここはもう宇宙人かAIが安牌ってことなんじゃないでしょうか。とはいえこのシリーズ、相手がテロ組織だろうがAIだろうがやってることは一緒ですけどね!とりあえずアクションに次ぐアクション!だってトム君映画なんだもん!
物語ではこの「意識を持ったAI」の鍵を握る鍵、ええと鍵が鍵を握るというのもなんだか変な言い方ですがなにしろ鍵、カギ、キーを巡り敵味方入り乱れての三つ巴四つ巴の争奪戦が展開されるんですね。即ち「意識を持ったAI」は単なる建前で「鍵を握る鍵」は物語を推進する為のいわゆるマクガフィンです。それはこれまでのこのシリーズの構造から全く外れることはありません。このシリーズは全て「マクガフィンを巡る攻防」を描いてきました。
「CIAの非公式工作員のリスト」「キメラウィルス」「ラビットフット」「核兵器発射制御装置」「ソロモン・レーンの極秘情報」「プルトニウム」、姿かたちは違えど、「物語をでっち上げる成立させる為のアイテム」を一個ポン!と置いて、それを巡る形で膨大なアクションを構成する、それがこの「ミッション:インポッシブル」シリーズなんです。だからこそ「アクションが主体で物語は添え物」なのであり、そのアクションの善し悪しが作品それぞれの面白さと繋がってゆくんです。
なにしろ「物語は添え物」なもんですからトム君の行動も『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)辺りから顕著になってきた行き当たりばったりさで、「どうにかする!」やら「どうにかしろ!」やらが連呼されまくり!それでも最終的には「どうにかしてしまう」んだからなんにも文句が言えないじゃないか!?いいのかソレ!?と思いつつストーリーの勢いに負け「ま、いっかな!?」と納得させらてしまうんだよ!?しょうがないじゃないか!だってトム君映画なんだもん!?
そんな事を言いつつも作品毎に新たなアイディアを投入し刺激的なアクションをぶち込み目を見張るシーンを生み出しているのですから本当にたいしたものです。今作でもローマにおける手錠をしたままのカーチェイスの斬新さには感心させられました(とはいえロケ地が『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』と被ってて、いつ鉄球が転がってくるのかとヒヤヒヤした。あとちょっとカリオストロの城みがある)。多くは書きませんがクライマックスのオリエント急行におけるアクションもとんでもなかったなあ!ただし予告編で散々流された「バイクに乗って崖からダイブするシーン」なんかは「トム君あんたダイブしたかっただけだろ!?」と思っちゃいましたけどね!?
今作でもお馴染みIMFメンバーがイイ味を出していましたが、脇を固める出演者では特に女性たちが役柄、アクションも含め非常に魅力的で目立っていたように思えました。ヘイリー・アトウェル、レベッカ・ファーガソン、ヴァネッサ・カービー、ポム・クレメンティエフ、誰も彼も素敵でしたね。まあトム・クルーズの素敵さには誰も適いませんですけどね!しょうがないじゃないか!だってトム君映画なんだもん!?