『プレイ・ダーティー』『第10客室の女』『キラー・ジーンズ』など最近観た配信映画

プレイ・ダーティーAmazon Prime Video)(監督:シェーン・ブラック2025年アメリカ映画)

マーク・ウォールバーグがダーティーな悪党を演じるアクション映画。ウォールバーグ好きなオレとしてはこれは観るしかないではないか(あのガサツな雰囲気が好きなのだ)。しかも監督は『ナイスガイズ!』『ザ・プレデター』『アイアンマン3』を手掛けたシェーン・ブラック、原作がリチャード・スタークによるクライム小説「悪党パーカー」シリーズだというからこれはもう身を乗り出してしまう。(「悪党パーカー」シリーズは以前にもジェイソン・ステイサム主演の『PARKER/パーカー』で映画化されている)。

物語は強盗団を率いる悪党パーカーが、巨額のお宝を強奪するため、ニューヨークの巨大犯罪組織と丁々発止の騙し合いと小競り合いを繰り広げるというもの。アクションはとことんハードでテンポはどこまでも小気味よく、仲間とのタフな会話で楽しませつつ、パーカーの冷徹さでゾクリとさせる。ちょっと殺し過ぎなんじゃないのか?と思っちゃうほどアッサリ簡単に殺してしまう非情さがこの物語の特徴だ。全体的に手堅い作りのアクション作品となっていて、決して退屈させられることがなかった。以前ならこのレベルのB級アクションがガンガン映画館でかかっていたものだが、今は普通に配信で公開なんだな。 

プレイ・ダーティー

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第10客室の女(Netflix)(監督:サイモン・ストーン2025年アメリカ映画)

Netflix映画『第10客室の女』は、取材のため豪華ヨットのクルーズに乗り込んだジャーナリストのローラが主人公のミステリー作品だ。彼女はある夜、第10客室から女が海に落ちるのを目撃するが、誰も信じないばかりか、消えた乗客は一人もいない事実を突きつけられる。ではローラの見たものは何だったのか?原作はルース・ウェアのミステリー小説で、なんといってもキーラ・ナイトレイが主演を務めているのが見どころだ。

豪華ヨットの客たちは尊大な金持ちばかりで、誰もが怪しく、誰もがいけ好かない。しかもローラは過去の事件でトラウマを抱えており、彼女自身も信用されていない。航行中の客船という密室スリラーとなる本作は、出だしこそなかなかにミステリアスであり、十分なサスペンスを観る者に与える。だが次第に事件の真相が明らかにされていくと、設定の粗さや乱雑な展開が目立つようになり、段々と白けていってしまう。ラストに至っては結局何がしたかったの?と思ってしまったほどだ。キーラ・ナイトレイの演技や存在感は素晴らしかったが、それ以外の面でお座なり過ぎて残念な出来となってしまっていた。

キラー・ジーンズ (監督:エルザ・ケプハート 2020年カナダ映画

『キラーコンドーム』、『アタック・オブ・ザ・キラートマト』など、ホラージャンルにはトホホな「キラー」が襲ってくるホラーコメディが事欠かない。他にも『キラーソファ』や『キラー・マネキン』、『キラー・ナマケモノ』や『キラーカブトガニ』、『アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ』などなど、一大「キラー」ジャンルが形成され、観る者を困惑させているのである。

さてその「キラー」ジャンルのホラー映画、『キラー・ジーンズ』である。お判りのようにジーンズが人を襲い死肉の血を啜る、という大変コワイホラー映画である。舞台となるのはファーストファッション店舗、ここに入荷したジーンズがなぜだか店員たちを襲い死体の山が築かれるのだ。まずファーストファッション店舗が舞台というのがユニークだ。ここの店員たちのキラキラしたカルトぶりにアパレル業界への皮肉が込められてる。いけ好かないファッションインフルエンサーが血祭りに遭うシーンは拍手喝采だ。そしてジーンズが人を襲う理由に、アパレル業界の第三世界における搾取構造が盛り込まれているといった着眼点が優れている。つまり社会派「キラー」ホラーなのだ。まあ観ていて面白いかどうかはまた別の話ではあるが。

キラー・ジーンズ(字幕版)