■レイリ(1)(2) / 岩明均・原作 室井大資・漫画
岩明均が原作の戦国時代漫画と聞いて「ほうほう遅々として進まぬ『
ヒストリエ』の傍らで原作まで手を出したか」と思いつつWeb上の「
試し読み」を読んでみるとこれがまた実に岩明らしい陰惨な物語で、しかも少女が主人公ではないか。早速1、2巻を買って読んでみたところ、確かに1巻目は相当陰惨極まりない展開を見せており「おおこれはいつもの岩明」と読み進めると、これが2巻目で新展開ではないか。なるほどこれをやりたかったのか。確かに戦国時代ともなれば無いことも無い話で、取り立てて新機軸というわけではないにせよ、「滅法腕の立つ少女剣士」がこの展開をどう生き延びてゆくのかとても楽しみになってきた。画を担当する
室井大資の作品はこれまで読んだことはないが、岩明の作風をなぞっているだけではなく、それに少々情感が加わっており、ある意味殺伐とした岩明の画よりも心情的に入って行きやすい。さらにこの物語、陰惨なりにちょっとしたユーモアのスパイスも効いている。これは結構いいコンビかもしれない。
■メカ豆腐の復讐 / とり・みき
この作品集は予めクライアントが存在してそれに依頼される形で書かれたいわゆる「企画もの」を集めた作品集だという。だからテーマは種々雑多で非常に短いページ数のものが次々と連発されてゆく。とはいえ、
とり・みきという漫画家はもともと多岐に渡る興味を様々な手法で描くのを得意としている人なので、テーマがばらばらにもかかわらず「
とり・みき」のテイストでひとつにまとめられると、これがあら不思議、1冊通して何一つちぐはぐさを感じさせないばかりか、いつもの安定の
とり・みきクオリティなのである。というか
とり・みきファンにとってはこのはちゃめちゃさが旨味なのだということもできる。なにしろ面白いです。それにしても
萩尾望都のビキニ写真ってなんだーッ!?
ホノオ君遂に漫画家デビュー!という16巻。それからの展開がまた早いんだが、実際もあれよあれよの状態だったんだろうね。とんとん拍子どころかズドドド拍子だからね。当時の漫画出版業界は優秀な人材に飢えてたってことでもあるんだろうなあ。あ、ホノオ君は相変わらず逆上しまくってて楽しいです。
久正人も作画・作話共に非常に高くしかも安定したクオリティーの漫画家だよなあ。こういう漫画家の漫画は四の五の言わず出たら読んで堪能する、それだけなんだよなあ。それと
久正人ってあのポップな絵柄を持ちながらどろどろとした心理やえげつない状況を描くのがとても巧い。そんなダークな展開を一本気の主人公が熱い思いをほとばしらせながら乗り越えてゆく。だからこそ作品に深みがあって読ませるものになるんだよなあ。
■ジャバウォッキー1914(2) / 久和人
そして久和人の『ジャバウォッキー1914』第2巻。「え、まだ2巻目だったっけ!?」と思わせせるほど展開が濃厚で、よくここまで詰め込めるもんだなあと感心してしまう。この「ジャバ」は"恐竜"と"
第一次世界大戦"という、スキモノには堪らない二大噺で構成されているが、多分作者も好きで堪らないんだろうなあ。そういった部分の知識が十二分に生かされることで荒唐無稽な物語に奇妙なリアリティを加味しているんだよね。
「え、もう新刊出たの!?嬉しいけど早すぎない!?」と思いつつ購入した『
アイアムアヒーロー』21巻、買ってみるとこれが微妙に薄い。帯を見て分かったが、どうやら映画版『
アイアムアヒーロー』のソフト発売に合わせての発売だったらしい。まあ前巻も映画公開に合わせてだったからちょっと薄かったもんな。とはいえ内容は決して薄く無いぞ!もうこれクライマックスに向けて突っ走ってる状況だろ!まあしかしこの物語を上手く畳むのにはまだ10巻ぐらいいるような気もするけどな!
■ラストマン(2) / バスティアン・ヴィヴェス、バラック、ミカエル・サンラヴィル
日本の"MANGA"に魅せられた
バンドデシネ・チームが描くファンタジック格闘アクションコミック第2巻。第1巻の引きが強烈だったので今後の展開は!?と固唾を飲んで読みはじめたら意外と「ああ、その手があったのね」ということであっさり解決、ふう、冷や冷やさせられたぜ。という訳で格闘大会は終了したものの、その後また新たな波乱が!?という所でまた引きかよ!そして次巻はいろいろ謎が多いこの世界の説明がちょっとはされそうなんだよね。そして少年とオッサンの物語は少年の母親とオッサンとの大人っぽい物語へと発展!?
まだまだ続く騎馬戦大会!引っ張り過ぎを通り越してこの物語自体が騎馬戦漫画へと変容してしまったのかッ!?もうこのまま10巻ぐらいずっと騎馬戦やっていればいい!そして「第2の
アストロ球団」として語り継がれるがいい!(ホントかよ)