ヴァン・ダムだってグァン・ヴァってるゼッ!〜映画『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』

■ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション (監督:ジョン・ハイアムズ 2009年アメリカ映画)


『ユニバーサル・ソルジャー』の1作目はあまり好きじゃなかった。死んだ兵士を最新先端科学を駆使して蘇生させ最強の戦士に生まれ変わらせたのにも関わらず、それだけ進んだ科学技術で蘇った兵士が最後は殴り合いで決着、というのがあまりにローテク過ぎて拍子抜けしたからである。それに、死んだ人間を蘇らすことが出来るテクノロジーが開発された、というのはそれだけでも世界の揺るがす驚異的な事件なのに、究極戦士を作るだけ、っていうのがなんだか納得できなかったのだ。多分オレはこの映画にバリバリのSFドラマを期待したからこんなふうにがっかりしてしまったんだろう。

今回の『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』はその続編となる(実際にはシリーズ5作目らしい)。本国ではビデオスルーの低予算映画として公開されたようだが、これが実は思ったよりも面白かった。まずオープニングのテロリストによるロシア大統領子息誘拐から銃撃戦への流れがかなりイイ具合に飛ばしていて、凄く期待を持たせられるのだ。そしてチェルノブイリ原発を占拠し「要求飲まないと爆破するぞコラ」とかいう展開も素敵じゃないか(まあホントのチェルノブイリだったら被爆して脅迫どころじゃないような気がするが)。その後テロリストたちがユニソルのニュー・バージョン、NGUを使ってることが分かり、対テロ機関はオリジナルである旧ユニソルを投入することを決定するわけだ。

しかしここで主演のジャン=クロード・ヴァン・ダムがなかなか出てこない。リハビリ中ということになっていて、なんだかウジウジしている。ヴァン・ダムの敵役として1作目以来の競演となるドルフ・ラングレンもなかなか出てこない。アンドレイ・アルロフスキー演じるNGUだけがバタバタと旧ユニソルを血祭りに上げて気勢をあげているだけだ。この旧ユニソルがまた装備があんまりカッコ良くない上にすぐやられる。だいたい他の兵士にしてもテロリストにしても、遮蔽物に身を隠すことなく特攻スタイルで突撃してはやられていくので、どうにも間の抜けた戦闘シーンになってしまう。この辺の中盤はなんだか欲求不満が募る展開になってしまっており、シナリオ的にヴァン・ダムとラングレンを早期に投入すべきだったように思う。

さてやっとヴァン・ダムが戦場に現れ、ドルフ・ラングレン演じるアンドリューやNGUと合間見えると、とたんに映画は締まってくる。この間『エクスペンダブルズ』を観た時、「これにヴァン・ダムが出てたらなあ」と思ったものだが、そのせいか軽い「ヴァン・ダム欠乏症」になっていたからかもしれない。ここでもヴァン・ダムはユニソル1作目のように最終的には格闘で勝負に決着をつけようとするのだが、オレは1作目と違って素直に楽しんで観る事が出来た。格闘家アンドレイ・アルロフスキーとの闘いということで底上げされて見えた部分もあったのだろうが、結構歳も食ってきたヴァン・ダムが「オレはまだまだ現役だぜ」とばかりに身体を張る姿に、熱いものを感じたのだ。それはまるでもうひとつの『エクスペンダブルズ』を観せられているかのようだった。さらにロケで使用していた廃鉄工所の威容を誇る廃物振りが禍々しくもまた美しく、この映画に魅力を加えるポイントとなっており、”廃墟マニア”の方も必見と思う。

■ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション 予告編