今日で地球は無くなります、それでは皆さんさようなら

本日9月10日、スイス・ジュネーブ郊外に建設された《大型ハドロン衝突型加速器(LHC)》において史上最高エネルギーによる素粒子実験が実施されるという話なんですが、その実験の一環としてマイクロ・ブラックホールの生成実験というのも行われるらしいんですね。
実はこの実験で生成されたマイクロ・ブラックホールが地球を飲み込んでしまい、世界は消滅するんじゃないか、と一部で言われているんです。米国では安全性を憂慮して実験停止を求める訴訟まで起こったんですが、裁判は無効になったらしい。

LHCの実験停止の仮処分申請は無効、米国政府が裁判所に抗弁書を提出 
欧州原子核研究機構(CERN)がスイスとフランスの国境沿いに建設を行った大型ハドロン衝突型加速器「Large Hadron Collider」で予定されている極小ブラックホール生成実験を行った場合、ブラックホールが周囲の物質を取り込みながら成長し、最終的には地球をも飲み込む程に成長。地球崩壊をもたらす原因になるとして米国に在住する元原子力関係者が実験開始の一時停止を求める仮処分をハワイ州地方裁判所に提訴してた訴訟に関連して、米国政府は24日、裁判は無効だとする抗弁書を裁判所に提出した。

そしてこれが、LHC実験により生成されたマイクロ・ブラックホールが地球を飲み込んでゆくシミュレーション映像だと。
ネタ元:ひろぶろ 9月10日のLHC実験で、地球が消えてなくなる?なシミュレーション映像

◆The CERN black hole

http://jp.youtube.com/watch?v=BXzugu39pKM&eurl=http://www.hiroburo.com/archives/50655943.html:MOVIE
怖いですねえ恐ろしいですねえ、地球が今日にでも終わってしまうかもしれないんですよ!?
ま、可能性は百兆分の一ぐらいらしいけどね!
実際にマイクロ・ブラックホールが生成されてもホーキング効果*1により、実験で生成されるような素粒子サイズのブラックホールナノ秒単位で消滅してしまうのらしい。さらに地球では宇宙線によりLHC実験で出来る以上の高エネルギー粒子衝突が起こっており、その際マイクロ・ブラックホールが生じているかもしれないが、それで地球が飲み込まれちゃったりしていないのが安全性の根拠なのらしい*2

まあ難しい理論はオレにはあんまり理解できませんが、なにしろ思ったのは、ブラックホール生成実験なんてものが現実に行われて、それで地球が滅んでしまうかもしれない、などと心配するなんて、なんとSFなことよのう」ということでありました!
SF作品においてマイクロ・ブラックホールが原因による破滅的状況というのは多々書かれているのでしょうが、オレの記憶にあるのはグレッグ・ベアの書いた『天空の劫火』ですね。悪意ある異星人により地球コアに打ち込まれたマイクロ・ブラックホールが一年で地球内部を食いつくし、最後には地球が爆発するという恐ろしい終焉を迎えるSF作品です。続篇『天界の殺戮』なんてのも出てますから、興味のある方は古本屋巡りをお薦めします(絶版なのよ)。

それにしてもこのLHCの姿が実に美しい。ここLHCの写真が多数掲載されていますので、最期にちょっとだけ紹介しておきましょう。

*1:ミニブラックホールの蒸発のこと。一般的にはブラックホールは物質にとって終着点を意味する。しかし、ホーキングが示したところによれば、量子物理学により、ミニブラックホールは物質と反物質を等量ずつ蒸発させることができ、恐らくその後に裸の特異点を残すことが起こりうるのである。http://www.aa.alpha-net.ne.jp/shunshun/space/database/Glossary.html#H

*2:・アルファルファモザイク/人工ブラックホール「安全宣言」