CLICK もしも昨日が選べたら

もしも昨日が選べたら [DVD]

もしも昨日が選べたら [DVD]

仕事も家庭もいっぱいいっぱい、周りからの要求の多さに頭の重い主人公に、ある日怪しげな男があるアイテムを手渡す。それは自分の人生の時間をビデオを見るように早回ししたり後戻りさせたりストップさせたりするリモコン機械だった…。言ってしまえばドラえもんの万能アイテムの一つを手にし、それのみをクローズアップさせたような物語である。試験勉強をしていて、「あ〜、明日の朝目が覚めたら、試験が終わってもう結果の出ちゃった未来になってないかなあ」と誰もが思ったことがあるような願望を魔法のアイテムで叶えてしまう、といった映画だ。軽く観られて他愛が無い。だがこの程度のそこそこな小品は逆に肩肘張らずに観られてオレは結構好きである。
しかしこの物語、最初は無難なコメディとしてあまり笑えないギャグを連発し、しょうもないなあ、なんて適当に観ていたのだが、後半に人生や家族について考えさせるシリアスな物語へガラリと様相を変えてしまう。こういった物語は得てして教訓的なラストをもってくるもので、それはこの映画でも変わりはないのだが、何が凄かったのかと言うと、未来へと自分を早送りしてしまった主人公の周りの世界が、セットから何から怖ろしく作り込まれた本当に未来的なものへと変わってしまうのある。金の掛け方が半端じゃないのだ。この程度の作品でここまで作り込んじゃうか?と思ってしまうほどリアルな未来世界なのだ。こういうことを平気でやってしまうハリウッドという所の金の掛け方と力量、人材や才能の存在というのがつくづく怖ろしい。
ところで邦題は「もしも昨日が選べたら」となっているが、この映画で登場するリモコン機械は、タイムマシンとはちょっと違う機能になっている。例えば過去へ行ったとしても、過去の映像を見るだけで、そこに介入は出来ない。つまり過去は変えられない。未来へ早送りしたら、現実時間の自分はオートパイロットで動く感情の無い人間として生きてしまい、到達した未来ではその間自分が何をしていたのか記憶が無い。そして早送りしてしまった結果の未来は、やり直しが出来ない!つまり一方向なのだ。だからタイトルのように「明日を選ぶ」ことは出来ない。ただ単に辛くてうとましい事を飛ばすだけの機械なのだ。そこから生まれる悲喜劇がこの物語のキモとなる。
そして早回しばかり繰り返した主人公の未来には何が待ち構えているのか。少し下品なお笑いネタが多いのと、中盤だれるのはありますが、ラストは感動的に仕上がった佳作です。ちょっとレンタルして軽く観る分にはいい映画かも。ちなみに主演のアダム・サンドラーはオレのお気に入りのアクターで、結構いろんな作品を観ています。奥さん役のケイト・ベッキンセールはやっぱり美人でありますな!あと怪しげな男をクリストファー・ウォーケンが怪しげに好演しています。