もうほうの最期

会社のもうほうUが何か朝から楽しげなのである。ホリエモンに似た顔をぬへら〜と歪ませ、モーホーにしかわからない隠微で爛れた妄想に浸っているのである。若く逞しい肉体労働者の汗の臭いをかいだのであろうか。それとも加齢臭もかぐわしい素敵な禿親父と肩でも触れたのであろうか。もうほうのもうそう。そんなもの、想像などしたくない。しかしだ。楽しげにしているモーホーがなぜか疎ましい。満ち足りたモーホーがなぜか憎い。モーホーごときに魂の安らぎなどあっていいわけが無いのだ。許せない。そもそもが他人の幸福が妬ましい人間なのである、オレは。
「朝から楽しそうだな、Uよ。」
「なんですかあ。(にへら)」
「モーホーとして生きることがそんなに楽しいのか。」
「何言ってるんですかぁあぁ!」
「オレは想像するよ、そんな楽しげに生きるお前のむごたらしい最期を。カラスにはらわたをついばまれ、野良犬に骨を齧られる様な哀れで悲惨な最期を。そう考えることで、オレは心がやっと休まるよ。」
「なんなんですかそれぇえぇえぇえ〜っ!」
そして朝からもうほうUの絶叫がまたもや響き渡るのだ。
…最近虫の居所の悪いオレである。