インディ・ジョーンズ/大いなる円環 (PC,Xbox Series X|S,PS5)
チャーンチャチャッチャーン♪チャーンチャチャーン♪……とテーマ曲も高らかにゲーム『インディ・ジョーンズ/大いなる円環(以下『大いなる円環』)』の登場である。そう、ハリソン・フォード演じる考古学者のインディアナ・ジョーンズを主人公とした冒険活劇映画『インディ・ジョーンズ』シリーズを、新たなストーリーに基づきゲーム化したタイトルなのだ。
PC版とXbox Series X|S版は去年の暮れに発売されていて、この時購入したXbox Series X版を思い出したころにちまちまプレイ、この間やっとクリアした。クリア時間は22時間ぐらいかな。ちなみにPS5版はつい先ごろ、4月17日の発売となっている。
『大いなる円環』は主人公インディの一人称視点によるアクションアドベンチャーゲームとなる。「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」と「最後の聖戦」の間にあたる時期を舞台にした本作は、太古より残された”大いなる円環”と呼ばれる謎の力を巡り、インディが世界を股にかけた冒険の旅を続けるというものだ。
ゲームは冒頭、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』と全く同じ南米の遺跡探索シーンから始まり既にして大いに盛り上げてくれる。そこから舞台はバチカンの荘厳な広間やエジプトの灼熱の砂漠、スコータイ朝の緑生い茂る水没寺院やヒマラヤの極寒の山頂へと広がってゆき、謎に満ちた遺跡の危険なトラップをかわしながら、古代の謎を解き明かしてゆくことになるのだ。そしてそれを阻むのがインディ・シリーズでお馴染みの悪役、ナチス・ドイツ御一行様というわけなのである。
なんといっても今作で注目すべきは、最新ゲーム機の緻密なCGIで再現された、映画そのままの映像だろう。インディを演じるハリソン・フォードの雄姿は言うに及ばず、舞台となる様々な遺跡が迫真的に描かれ、危険に満ちた冒険を否応なく盛り上げてゆくのだ。演出自体も実に映画を意識したものとなり、インディの新作映画かと思わせるほどの壮大な物語を楽しむことができる。
もう一つ注目点となるのは、『トゥームレイダー』や『アンチャーテッド』といった、”インディ・ジョーンズ・フォロワー”とも言えるトレジャーハントゲームと、本家のインディであるこの『大いなる円環』がどれだけ差別化しているのかといった点だろう。これはまずゲーム性に表れている。まずインディの重要アイテムは鞭であり、鞭によるアクションや攻撃が大きくフィーチャーされる。
一方、映画版でそれほど銃撃戦が描かれないように、この『大いなる円環』では銃はあっても戦いではほとんど役に立たない。ではどうやって戦うかというと「殴り合い」なのである。実はこの「殴り合い」が難で、アクションとして単調な上にそれほど強力な戦闘法ではない。実はこのゲーム、ステルスが基本となっており、敵とはなるべく戦わずにゲーム進行せねばならず、ステルスの苦手なオレにはちょっとストレスが大きかった。
ゲームの中心となるのは危険な難所やトラップを乗り越えるアクションと遺跡の謎を解くパズルとなるが、ある程度の難易度はあるもののヒントも多く、これは適度にやりがいがあった。また、ジーナという名の女性が常にゲームに登場し、彼女と協力し合いながらゲームを進行させてゆく展開は楽しかった。というわけでインディになりきって遺跡の謎を解いてゆくゲーム『大いなる円環』、クリアした後はインディ映画を再び観たくなってくる作品だった。