『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』はシリーズ大団円に相応しいアクション快作だった!

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル (監督:ジェームズ・マンゴールド 2023年アメリカ映画)

オレとインディ・ジョーンズ

遂にインディ・ジョーンズの新作映画が公開されましたね。オレは公開日となる6月30日の金曜日に夏休みをとってIMAX劇場で観てきましたよ!

インディ映画の1作目『レイダース/失われた聖櫃(アーク)』はまさに「血沸き肉躍る」という言葉通りの徹底的に冒険活劇に特化した作品で、ルーカス&スピルバーグのタッグ作品という事も相まってオレも公開時にはヤンヤヤンヤの盛り上がりでした。2作目『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』ではオレ好みのダークなホラー風味を加え、なおかつより高速に展開するアクションに度肝を抜かれましたね。オレが1番好きなのはこの2作目かなあ。

3作目『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』は若干おとなしめになったものの、ショーン・コネリーの参加や「聖杯を巡る冒険」というテーマには魅せられました。4作目『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』は否定的な評価もありますが、19年振りに帰ってきたインディ!ということでオレは諸手を挙げて歓迎しました。

5作目にして最終話『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

さて5作目となるこの『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』、4作目から今度は15年振りとなる作品ですが、インディ作品はもう作らないんだろうなあと漠然と思っていたので、製作が発表された時はやっぱり盛り上がりましたし、是非観たい!と思いましたね。監督もスピルバーグからジェームズ・マンゴールに代わり、主演となるハリソン・フォードも御年80歳、さらに登場するインディは70歳!という別の意味でも物凄い作品になりましたが、これがハリソン・フォード・インディの最終話となるという事なので劇場には期待を胸に秘め馳せ参じました。

(しかし『インディ・ジョーンズ”と”運命のダイヤル』ってタイトル、なんだかハリー・ポッター・シリーズみたいなタイトルですよね)

【物語】考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズの前にヘレナという女性が現れ、インディが若き日に発見した伝説の秘宝「運命のダイヤル」の話を持ち掛ける。それは人類の歴史を変える力を持つとされる究極の秘宝であり、その「運命のダイヤル」を巡ってインディは、因縁の宿敵である元ナチスの科学者フォラーを相手に、全世界を股にかけた争奪戦を繰り広げることとなる。

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル : 作品情報 - 映画.com

1969年、70歳のインディ。

物語は冒頭からこれでもかといわんばかりのアクションの連続、決して途切れることがありません。まず最初はインディの宿敵となるナチス・ドイツとの戦い、ここでのまだ40代のインディの若い相貌に驚かされます。実はここでの映像はCGやメイクではなく、ハリソン・フォードの初期インデイ/スター・ウォーズ時代に撮られた膨大な映像アーカイブをAI技術により合成したものなのだとか。

そして時代は飛んで1969年、70歳になり定年退職を迎えたインディが登場します。アメリカ月面初着陸の祝賀パレード、画面に流れるビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」、これまで第2次大戦前後を描いてきたインディとはすっかり趣が変わり、時代は変わったんだなあとしみじみ思わされます。ある意味インディが近過去までやってきた、というのも一つの驚きです。そもそも1969年って、オレが5歳の頃だよ!

アクションはさらに釣瓶打ちとなり目まぐるしいスピードで展開してゆき、それこそ息つく暇もありません。冷徹な敵、信用できないヒロイン、緊迫に満ちた山場に次ぐ山場、世界を股にかけ移り変わるロケーションはあたかも「007」シリーズを思わせるものがあります。そもそもインディ映画自体が007作品を念頭に置いて作られたと言いますからこれは本懐でしょう。しーかし!そこにひとたびあの「インディ・ジョーンズのテーマ」が流れると、世界は紛う事なきインディ・ワールドと化すのです!あのテーマソングは本当に偉大ですよね!

時を司る「運命のダイヤル」

今作のタイトルであり物語の鍵となる「運命のダイヤル」、それは歴史を変えるとされる秘宝「アンティキティラのダイヤル」です。映画ではあれこれ脚色されていますが、実はこれは実際に存在するアイテムで、「アンティキティラ島の機械」と呼ばれる古代ギリシャの遺物がそれに当たります。この時代のものとしては考えられないほど精巧な計算機械で、オカルト界隈ではオーパーツ的な扱いをされています。そしてこの「オカルト的」である部分がもう一つのインディ・ジョーンズらしさなんですね。

しかしこれまでシリーズに登場した「オカルト的」なマクガフィンがどれも宗教祭祀絡みだったものを、ここでは「謎の超科学遺物」として登場させている部分が目新しく、またクライマックスにインディ史上類をみないとんでもないスペクタクルを生んでいるんです!そこまでやっちゃったか!まあ最後だしね!ネタバレしない程度に書くならば、「歴史クラスタよ、今すぐインディ新作を観て悶絶しろ!」って感じでしょうか!?

「時を司る運命のダイヤル」をマクガフィンとして登場させたこの物語は、同時に「時の流れ」についての物語でもあります。第2次世界大戦から月面着陸の成功した近過去へ、40代だった壮年期のインディが70歳の老人へ、その間に変化してしまったインディの家族関係、変わらぬ友情に包まれた人間関係、それら全てがこの物語の中で語られてゆきます。

そしてそれは、映画「インディ・ジョーンズ」シリーズに熱狂し見守り続けてきた映画ファンの、それこそ1作目から40年以上続く時の流れでもあるんです。40年前と言えばオレが20代になったかならないかぐらいの時ですよ。そんな長きに渡る間、心を沸かせ愉しませてくれたシリーズの最終話となる今作、大団円に相応しいあのラストを、万感の思いで(ちょっと涙ぐんで)見つめていたオレでありました。ありがとうインディ!