50億ドルの財宝を探せ!/映画『アンチャーテッド』

アンチャーテッド(監督:ルーベン・フライシャー 2022年アメリカ映画)

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アクション・アドヴェンチャー・ゲーム『アンチャーテッド』シリーズは2007年から5作+スピオンオフ1作が発売されている大人気作品である。オレも携帯版以外は全部遊んだ上に、オレには珍しく全部クリアしている(褒めて褒めて)。

ゲーム『アンチャーテッド』の内容はいわゆるトレジャーハンター物で、映画『インディ・ジョーンズ』のゲーム版、アクション・ゲーム『トゥームレイダー』の男性主人公版、と言ったところだろうか。簡便な操作で切り立つ崖や建物をアクロバティックに次々と昇り降りする楽しさ、極めて映画的な演出のカタルシスが特徴となる。映画的とは書いたが、ある意味映画すら超えた醍醐味がこのゲームにはあった。

その『アンチャーテッド』が実写映画化されたという。主演はトム・ホランドマーク・ウォールバーグ、敵役としてアントニオ・バンデラス。監督は『ヴェノム』『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー。ゲームの映画化というと先に挙げた『トゥームレイダー』や人気シリーズ『バイオハザード』があるが、この『アンチャーテッド』はどんな仕上がりになっているか興味が湧いて観に行くことにした。

【物語】ニューヨークでバーテンダーとして働くネイサン・ドレイク(ネイト) は、器用な手さばきを見込まれ、トレジャーハンターのビクター・サリバン(サリー) から、50億ドルの財宝を一緒に探さないかとスカウトされる。ネイトは、消息を絶った兄のことをサリーが知っていたことから、トレジャーハンターになることを決意する。同じく財宝を狙う組織との争奪戦の末に、手がかりとなるゴールドの十字架を手にしたネイトとサリーは、500年前に消えたとされる幻の海賊船へとたどり着くが……。

アンチャーテッド : 作品情報 - 映画.com

物語は50億ドルもの財宝を巡ってニューヨークからスペイン、フィリピンの孤島へと飛ぶ主人公らの姿が描かれてゆく。途中仲間の裏切り、同じ財宝を狙う敵組織の攻撃を経ながら、様々な謎を解き、危険を乗り越え、財宝の在り処へと近づいてゆくのだ。そのアクションはゲームを模したアクロバティックなもので、空を海を地を縦横無尽に駆け巡るものとなっているが、正直中盤までは身を乗り出すようなアクションはそれほど展開せず、若干退屈した。この中盤まではむしろ謎解きメインと捉えたほうがいいだろう。しかし中盤からの空中戦は「アンチャーテッド」らしい高所恐怖症的な演出が連続し、大いにカタルシスを得ることができた。

トレジャーハンター物のストーリーは、先行する『インディ・ジョーンズ』シリーズがあまりに出来が良すぎたせいで、今このテーマで映画企画をしようとしても、どうにも既視感に付きまとわれてしまう。そこを例えば映画『ジャングル・クルーズ』のように、既存するアトラクションなりキャラクターを使えばそこそこ面白いものが出来上がる。この『アンチャーテッド』にしても、ゲームの映画化という部分でトレジャーハンター物の楽しさを再現しているが、ゲーム自体に思い入れが無ければこれといった特色を見出せないかもしれない。

しかしそこをクリアしたのが主演となるトム・ホランドでありマーク・ウォールバーグの存在だろう。MCU版『スパイダーマン』で絶大な人気を誇るトム・ホランドが、『スパイダーマン』とはまた違うキャラを演じるのは実に新鮮だ。またマーク・ウォールバーグにしても、そのクセのあるキャラが「敵か味方か」という物語における設定に大いに寄与しており、これも悪くない。一方アントニオ・バンデラスは若干印象が薄く、もうちょっと冷徹で悪辣なキャラでもよかったかもしれない。それと二人の女性キャラは少々魅力に欠けたように思う。

映画的にはそつなくまとまってはいるものの小振りな感があり、これは監督ルーベン・フライシャーの手腕の限界だったように思う。とはいえ、気負いすることなくサクッと気軽に楽しめてそこそこに興奮も得られ、大作のような醍醐味を期待しなければ、まずまずの満足ができる映画ではないだろうか。