『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』が面白かった!/ その他最近ダラ観した韓国映画などなど

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 (監督:パク・デミン 2022年韓国映画

うおおおお『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』滅茶苦茶面白かったじゃないかッ?!主人公は「ワケアリのブツ」を運ぶ裏稼業のドライバー、しかも超絶ドライヴィングテクニックを持つ女ウナ。その彼女が「多額の現ナマとワケアリの子供」を運ぶ羽目になった、というのが物語だ。追ってくるのは極悪悪徳警官とサイコパスな殺し屋、さらにはなんと国家情報局!?そして炸裂する「こんなの観た事ない!」と思わせる凄まじいカーアクションの数々、さらに全く車をクラッシュさせないドライヴィングテクニックには脱帽!主人公ウナの可愛げの全く無いクールさも最高じゃないですか!そして『トランスポーター』『ドライヴ』の如く始まった物語は『グロリア』『レオン』を思わせる展開へと続き、最終的に「韓国血塗れ痛過ぎアクション」へとなだれ込む!もうこれだけでお腹一杯じゃないか!主人公ウナを『パラサイト 半地下の家族』のパク・ソダムが演じるが、悪徳警官役のソン・セビョクが韓国版ゲイリー・オールドマンといった風情でニマニマさせられるぞ!

最後まで行く (監督:キム・ソンフン 2014年韓国映画

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悪徳警官が車で死亡事故を起こし、なんとか隠匿したものの今度は電話で何者かに「事件を知っている」と脅される、というサスペンス・スリラー。冒頭の死体隠蔽トリックこそ無理があり過ぎて最初はちょっと鼻白んだが、脅迫が始まってからのミステリー展開からぐいぐい引き込まれた。死亡事故隠蔽の為に文字通り「最後まで行く」主人公の死に物狂いの戦い、ワルとワル同士の暗く陰惨な駆け引き、予想外の真相とどんでん返し、そして黒々としたラストまで実によくできていた。作品自体評判がよく、つい最近岡田准一主演による同タイトル邦画のリメイク作品が公開されている。

探偵ホン・ギルドン 消えた村 (監督:チョ・ソンヒ 2016年韓国映画

敏腕探偵ホン・ギルドンが20年前母を殺した男を遂に追い詰めるが、その背後に巨大な闇の組織の陰謀が横たわっていた!?というクライム・エンターテインメント。全体的にリアルさよりも奇想天外で劇画タッチのノリが本作の醍醐味となるだろう。主人公のオフビートなキャラ、その主人公が記憶の彼方に封印していた恐るべき過去、彼と絡む幼い姉妹とのユーモラスなやりとり、闇の組織の荒唐無稽な謀略の様など、外連味のある演出が面白さを醸し出している。物語としてはドラマ作品の最終回だけを見せられているような慌ただしさを感じたが、テンポの良さで補っていたと思う。

フィスト・オブ・レジェンド (監督:カン・ウソク 2013年韓国映画

TVの素人参加格闘番組に出場した3人の男たちの人生を、哀歓たっぷりに描いた人間ドラマ。監督は『シルミド』のカン・ウソク。主演のファン・ジョンミン(『ただ悪より救いたまえ』『アシュラ』)がオレのお気に入りの韓国俳優なので観てみた。タイトルからは熱い格闘アクションを想像するし、もちろん白熱した試合の様子は十分エキサイティングだ。しかしむしろ物語の主軸は、学生時代友情を育んでいた3人の男たちの甘酸っぱい青春模様と、その後に別々の人生を歩んだ彼らの失望に満ちた人生を描いているのだ。これがハリウッド映画だったら勝利や自己実現がテーマになるのだろうが、この作品では壊れてしまった友情をもう一度取り戻すために苦悩し、人生をもう一度立て直したいと願う男たちの姿を描いていて、より複雑で胸を打つドラマになっていたと思う。ちなみに香港映画にも『フィスト・オブ・レジェンド』という映画があるのでお間違えの無いよう!

黒く濁る村 (監督:カン・ウソク 2010年韓国映画

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20年間音信不通だった父の訃報を受けた主人公が父の暮らしていた山奥の村を訪れるが、その村は得体のしれない不穏な空気に支配されていた、という物語。監督は↑で紹介した『フィスト・オブ・レジェンド』と同じカン・ウソク。上映時間161分と韓国映画でも長い部類に入る作品だが、緊張感を途切れさすことなく次々と巻き起こる謎や事件に最後まで一気に観てしまった。実のところ物語のちぐはぐさや説明不足、演出の拙さが目立っていたことも否めないのだが、勢いで押し切っていたように思う。これは出演者の存在感や演技の良さが際立っていたせいだと言えるだろう。だから「映画の出来は星3つぐらいだが大変楽しめた」という変な評価になる作品でもある。