マイケル・ベイ監督によるアクション作『アンビュランス』を観た

アンビュランス (監督:マイケル・ベイ 2022年アメリカ映画)

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逃走中の銀行強盗犯が怪我人を乗せた救急車を乗っ取り、警察隊とカーチェイスを繰り広げるというアクション・サスペンス映画です。『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイがメガホンを取り、「破壊王」の名にし負う凄まじい銃撃戦とクラッシュ・シーンを盛り込んだ作品なんですね。主役となる銀行強盗犯をジェイク・ギレンホールとヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、乗ったられた救急車に乗る救命士をエイザ・ゴンザレスが演じています。作品は2005年製作のデンマーク映画『25ミニッツ』のリメイクだとか。

アフガニスタンからの帰還兵ウィルは妻の治療費を工面しようと、血のつながらない兄のダニーに助けを求める。ダニーが提案したのは、3200万円ドル(約36億円)もの大金を強奪する銀行強盗だった。計画通りならば、誰も傷つけることなく大金だけを手にするはずだったが、狂いが生じて2人は警察に追われる事態に。やむを得ず逃走用に救急車に乗り込んだ2人だったが、その救急車はウィルに撃たれて瀕死となった警官を乗せていた。

アンビュランス : 作品情報 - 映画.com

銀行強盗犯と警察車両との追跡劇を描いた映画は数多ありますが、この『アンビュランス』では瀕死の怪我人を乗せた救急車を中心に据えている部分が目新しい要素でしょう。逃走劇の結末のみならず、怪我人の運命や強盗犯と救命士との緊迫に満ちたやり取りがドラマを生んでいます。映像面ではドローンを多用したと思われる浮遊感に満ちた変幻自在なショット、マイケル・ベイ印の目まぐるしいカットが持ち込まれ、お約束の車両破壊と大爆発、様々な小火器重火器がこれでもかと弾丸を吐き出すシーンがてんこ盛りとなり、とことんド派手で喧しい作品に仕上がっていました。

ドラマ面でもカーチェイスのみを延々描くわけではなく、登場人物たちの様々な背景や人間ドラマを盛り込み、逼迫する怪我人の運命や犯人たちの大胆な作戦など、観る者を決して飽きさせないように工夫されていました。とはいえ救急車にこだわり過ぎたばかりにシナリオに破綻があり、途中から「なんで?」と思わされてしまう部分も存在します。具体的に言うなら警察隊を巻いた時にどうして救急車を捨てて別の車に乗り換えないのか?という部分なんですよねえ。犯人たちの強烈な兄弟愛も取って付けたもののように思え、少々白けてしまいました。とはいえ、ジェイク・ギレンホールのキレッキレの演技は楽しめましたし、ギリギリの状況の中救命士の職務を果たすエイザ・ゴンザレスの姿も素敵でした。

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