宇多田ヒカル『One Last Kiss』 とメロディック・ハウス

One Last Kiss (通常盤) (特典なし)

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観終わり、その余韻のまま宇多田ヒカルの歌うテーマソング『One Last Kiss』のシングルを購入し、しんみりしながら聴き入っているオレである。

収録曲はこんな感じ。

1: One Last Kiss (映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』テーマソング)

2: Beautiful World (Da Capo Version) (映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』テーマソング)

3: Beautiful World -2021 Remastered- (映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』テーマソング)

4: Beautiful World (PLANiTb Acoustica Mix) -2021 Remastered- (映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』テーマソング)

5: 桜流し -2021 Remastered- (映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』テーマソング)

6: Fly Me To The Moon (In Other Words) (2007 MIX) -2021 Remastered- (映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』予告編挿入歌)

7: One Last Kiss (Instrumental)

8: Beautiful World (Da Capo Version) (Instrumental)

『One Last Kiss』 と一緒に映画で使われていた『Beautiful World (Da Capo Version) 』の他、『Beautiful World』の別バージョンと『桜流し』といった『序』『破』『Q』のテーマソング、さらに『序』の予告編で使わていたという『Fly Me To The Moon』、それと『One Last Kiss』と『Beautiful World』のインストが収録。要するにエヴァで使われた宇多田曲を集めたシングルということらしい。

宇多田ヒカルというアーチストは非常に優れた邦楽アーチストであるという認識はあるものの、特にそれほど興味は無かったりする。そもそもオレ邦楽聴かないし。ただ、エヴァ曲はやはり気になってしまい、『桜流し』の収録されたベストアルバムは買ったことがあるんだよな。宇多田の曲は切実で切迫感のある歌詞と咽び泣くようなヴォーカルがやはり独特で、これは邦楽を聴かないオレですら一目置くものがあるよ。なにしろ歌詞が聴いていて恥ずかしくない。

ところで今回の『One Last Kiss』を聴いてなにかに似ているなあ、と思ったのだが、それはオレがお気に入りの「メロディック・ハウス」というEDMジャンルの曲調だったんだ。「メロディック・ハウス」というのはその名の通りメロディックでエモーショナルなサウンドが特徴となるEDMでここ最近EDM界隈で人気が出ている。オレ自身はロンドンを拠点とするインディペンデント・レコード・レーベルAnjunadeepのサウンドが特にお気に入りだ。似ているなあ、と思ったのはアムステルダム/ロンドンを拠点に活躍するエレクトロニックバンドCubicolorの「Hardly A Day Hardly A Night」という曲の、特にオープニングの雰囲気。


 こちらが宇多田の『One Last Kiss』。(ところでこのPV、庵野が監督したらしい)

別に剽窃しているとか言いたいわけではなくて、(多分アレンジャーが)こういったEDMのトレンドも取り入れて曲にしているんだな、それがメロディックハウスっていうのもEDMファンとしてちょっと嬉しいな、ということを思ったわけなんだ。

だけどTwitterで誰かが言っていたけれど、宇多田の歌って「自分が体験したはずのない恋愛体験を追体験させられるような変な気持ち」になるよな。それだけ卓越した歌詞の構成力を持っているということなのだろうが。固有名詞やベタな状況を極力持ち込まず、普遍的でありながら宇多田自身の言葉で歌詞にし曲にしていると思う。ただ、宇多田に限らず情念のこもったヴォーカル曲って聴いていて心がヒリヒリしてくるのであまり得意じゃないんだ。四六時中ヒリヒリしていたら日常生活が送れなくなるんでな。そんなもんだから今回のシングルもよく聴くんだけど、なんだか根拠なく辛くなっている。そこがいいといえばいいところなんだが、ううむ悩ましい。

One Last Kiss (通常盤) (特典なし)

One Last Kiss (通常盤) (特典なし)