それはアナログだった

キッチンタイマーを買おうかと思ったのである。麺を茹でたりグリル時間を設定するのにタイマーは必須なのだ。きょうびのコンロはタイマー付きのものもあるが残念ながらそういうコンロを持っていない。じゃあ今までどうしていたかというとスマホのタイマーを使っていた。これはこれで別に問題なく使えていたのだが、タイマー設定するのにいちいち居間から台所にスマホを持って行き、終わったら終わったで台所から居間に戻すのが億劫になってきて、タイマーを一個買って最初から台所に置いておこうと思ったのが今回のあらましである。というわけでそのテの台所製品が置いてある店に行き、なんとなくオサレくさかったタイマーを一個買ってきたのだ。何かのメーターみたいに沢山目盛りが付いて面白いじゃないか。

f:id:globalhead:20190928110507j:plain

そんなわけで早速使ってみたのだが、これが、実はアナログ式だったのである(ま、見りゃわかるけどさ!そもそもが胡乱な男なんだよオレは!)。どういうことかというとゼンマイ仕掛けのタイマーだったのだ。使い方も若干面倒で、最初に「55」の目盛りまで外枠をクルクルッと回して、それから設定したい時間まで反対側にグルグルッと回して合わせる、という使い方なのだ。しかも説明書を読むと「ゼンマイ式なので10秒ほど時間がずれます」とか書いているではないか。要するに若干アバウトなのである。そもそもタイマーなんぞというものはデジタル式のものを今まで当たり前に使ってきたので、いきなりアナログ式で、しかも時間がアバウト、ということを知り面食らったのである。だいたい5分だ10分だという時間設定ならまだいいが、2分30秒とか3分30秒とかの時間設定をしたいときはこのアバウトなアナログ式でどうしたらいいというのだ。千幾らもしたのに、ちょっと失敗したかなあ、と思ったのである。

しかし買ってしまったものはしょうがないので使わねばならない。というわけで不承不承使ってみたのだが、これが実の所、特に大勢に影響がないことに気付いてしまったのである。3分のラーメンも8分のパスタも10分のグリルも、10秒ぐらい違ったからと言って大差ないのだ。もともとオレは時間には正確を期する男で、仕事にしても待ち合わせにしても早くなることはあっても遅くなることは決してしないことを信条としており、部屋中にある時計に類するもの全てが正確な時間を示していないと気になって気になって仕方がないような部分があるのだが、それにしたって10秒の違いがなんだという気もするのである。キッチンタイマーであれば気付くか気付かないか程度に固くなるか柔らかくなるかほんのちょっぴりミリ単位で焦げ目が付くかぐらいの話だ。そんなものなんだというのだ。つまりオレは若干アバウトなキッチンタイマーを購入したことにより、なんだかいつもキリキリと「時間!時間!」と青筋立てていた自分を一度顧みることが出来たというわけなのである。まあこれは10秒だからという話なのであって、3分で設定した時間が10分や30分じゃあ話にならないが、なんでもキッチリキッチリ!であるのはちょっと気持ちに余裕がない証拠なのかななどと思ったのである。

そういえば最近これまでデジタル腕時計一辺倒だったオレがアナログ腕時計に切り替えたのだ。そうするとこれがこれで使い勝手がいい。時間を数字ではなく面で判断するのがなんとなく新鮮だ。そもそもきょうびの時計は安物でさえ正確で、デジタルかアナログかなどというのは趣味でしかない。とはいえオレはここでデジタルとアナログの優劣を述べたいわけではないし「アナログにはアナログの良さがあっていい」などと言うつもりも毛頭ない。今回購入したキッチンタイマーを有効活用したいがために気持ちを切り替えたというだけの話である。だからこのタイマーが壊れたら次はデジタルタイマーにするであろうことはオレの性格的に自明である。ただちょっと「気持ちを切り替えた」という部分で面白かったので今回ネタもないブログにつらつら書いてみたというわけなのである。以上。