真実はそこにある!誰も信じるな!あの『Xファイル』が帰ってきた!1993年から2002年にかけて9シーズン、全202話にのぼるエピソードが放送されたアメリカのオカルトSF・TVシリーズ『Xファイル』が13年ぶりに再開されました。『Xファイル 2016』と日本語タイトルの付いたこのシーズン10、オンデマンドでは6月あたりから観られたのですが、やっぱりソフトで持っておきたい……ということで7月のBlu-rayボックスセット発売を待って視聴しましたよ。
いやーオレ、この『Xファイル』の大ファンで、エピソードも全部観たしもちろん映画化された2作も劇場に行って観てきました。エピソード9終了後は、まあ長々とやっていたしこのぐらいが潮時だったかなとは思っていましたが、シリーズ復活を知った時はやはり嬉しかったですね。今回製作されたシリーズ10は6話のみのミニシリーズですが、前作からの休止期間も長かったし、再開の肩慣らしとしてはこのぐらいの長さでよかったかもね。とは言いつつ、早くシーズン11が観たいんですが!
13年ぶりの『Xファイル』を観始めて、一番最初の感想……「オープニングが全然変わってない!」13年ぶりのシリーズだから心機一転して新しいオープニングになっているかと思ったら、第1話から連綿と続いているアレなんですね。個人的にはここは新しくてもよかったかな。そしていよいよ現代のモルダーとスカリーが画面に登場!……いやあ、二人とも、老けたなあ……。まあ第1話が20年以上前の放送だから、老けてて当たり前ですけどね。モルダー役のデイビッド・ドゥカブニーさんは若干貫禄が付いてこれはこれでアリかな。ダナ役のジリアン・アンダーソンさんも皺増えましたが今でも十分セクシーざんすよ。さらにスキナーFBI副長官も復活!今度は髭生やしている!ただふと思ったが、1作目から20年以上ずっと「副長官」のままっていうのも社会的にどうなの……。
さて収録エピソードのざっくりした感想。
■第1話「闘争 Part1」……うおお!やっぱ『Xファイル』といえばUFO!拉致!人体実験!政府の陰謀!もうこれだけでメシ釜一つ食えるわ!
■第2話「変異」……遺伝子操作モノ。そう、そして『Xファイル』といえば手術室!死体解剖!あといろいろグログロなものが出てきて楽しい。
■第3話「トカゲ男の憂鬱」……おっとこれはモンスターモノ!しかもひねりが効いててコミカル!まだまだこんなシナリオ書けるんだね。
■第4話「バンドエイド・ノーズ・マン」……都市伝説モノ。不気味!暗い!おまけにバッちい!そして何も説明されないことがまた『Xファイル』ぽいんだよな。
■第5話「バビロン」……冒頭いきなり爆弾テロ!しかし本題はそこじゃなかった!こういう構成も『Xファイル』らしい。しかも思わぬ乱調が非常に愉快!
■第6話「闘争 Part2」……6話にしてもう終末モノ!そして新捜査官キャラ登場!さらにあの敵役復活!そしてラストはうわあああああ!?
たった6話とはいえ「これぞ『Xファイル』!」というエピソードばかりでしたね。そして以前と同じようなことをやっていながらなんだかちょっと違う。モルダーが妙にひょうきんだったりダナのセクシーショットまである。もちろんそれだけじゃないんですが、この「変わらない部分と新しい部分」のバランスもよかったですね。そして二人のロマンスの行方と養子に出してしまった子供への悔恨が今回の裏テーマともなっています。
このBlu-rayボックスセットは特典映像も充実していて、スタッフたちの打ち合わせや製作の様子だけではなく、素のデイビッド・ドゥカブニーやジリアン・アンダーソンが見られるのがいいですね。二人ともカメラが回っていないときはとても表情が豊かで魅力的なんですよ。長年観続けてきたシリーズの主役たちのこんな姿はほっこりさせられます。それと特典映像には未公開シーンやNGシーンの他、『グレース』というタイトルの10分ほどの短編が収録されています。
『Xファイル』の面白さは「グレイのものをグレイのまま描いちゃう」という部分にあるんじゃないでしょうか。UFOやらモンスターはあからさまに描かれますが、それ以外の超常エピソードはなんだかもやもや……と終わっちゃう。「なんなのか分からない」という不安を残すんですよ。テラーやホラーじゃなくあくまで"不安"が主人公なんです。実の所UFOだって政府の陰謀だってそれは不安の裏返しなんじゃないでしょうか。そんな所が『Xファイル』の面白さ、醍醐味なんですね。
それと特典映像で製作のマーク・スノウが語っていて興味深かったのは、旧シリーズ終了は911テロの影響だった、ということですね。テロの影響により、それまでの「信頼できない政府」が国民にとって「強くて信頼できる政府」である必要が出てきた。そういった世相を読み取ることで旧シリーズ終了を決断したということらしんですね。まあもちろん視聴率やマンネリも大きな要因だとは思いますが。こうして再び『Xファイル』が甦ったのはファンのニーズと昨今のTVドラマブームがあるのでしょうが、もうひとつ、新たな世相の変化がそこにはあったかもしれないですね。
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