負け犬男の起死回生を賭けた七転八倒を描くドタバタコメディ〜映画『Housefull』

■Housefull (監督:サジード・カーン 2010年インド映画)


とことん運の悪い男が美女と出会って運命の起死回生を願うものの、待っていたのは山あり谷ありの試練ばかり!?というコメディ映画です。主演はアクシャイ・クマール、リティーシュ・デーシュムーク、ディピカー・パドゥコーン、ラーラー・ダッタ。うおおこれは豪華メンバーですね。監督は『Heyy Babyy』のサジード・カーン。この作品は大ヒットを記録し、その後続編である『Housefull 2』が2013年製作されています。自分はこの続編のほうを先に観ていましたが、物凄く面白かったな。そしてこの第1作も輪を掛けて楽しい作品でした!

アールーシュ(アクシャイ・クマール)は何をやっても裏目裏目に出てしまう、悪運がべったり背中に張り付いたような負け犬男。遂に彼女からも振られ、傷心を癒すためにロンドンの友人ボブ(リテーシュ・デーシュムク)の元を訪ねます。そこでアールーシュはとある女性と見合い結婚に漕ぎ着け、意気揚々と新婚旅行に出掛けますが、なんと結婚相手に「これは偽装で本当は好きな人がいる」と別れを告げられる始末。アールーシュは絶望に打ちひしがれ入水自殺を図りますが、あわやという所で超絶美女サンディ(ディーピカ・パドゥコーン)に助けられます。恋に落ちる二人ですが、アールーシュの悪運は終わったわけではありません。諜報局に勤めるサンディの兄がアールーシュをサディスティックに追及し始めたのです!

先に観ていた2作目がひねりまくった脚本の妙で笑わせていたのに比べ、この1作目は徹底的にナンセンスさをごり押しして笑いにもっていきます。なにしろ主人公は悪運男、何をやってもとんでもない災難を呼び寄せちゃうものですから、映画ではのべつまくなしにドタバタが続いてゆくわけなんですよ。このドタバタが「掃除機が壊れて部屋がメチャクチャ!」とか「感電して電気ビリビリ!」とか、ドリフのコント並みにしょーもない&下らないものばかりで、馬鹿馬鹿し過ぎて呆れ返りながら笑い転げて観ていました。

後半ではサンディの兄に「自分はお金持ちです!だから妹さんを幸せにできます!」などと嘘をついたばかりに、どんどん窮地に立たされてゆくアールーシュの七転八倒ぶりがメインとなってゆきます。しかしサンディの兄は諜報部員、なんとアールーシュに嘘発見器をとりつけて尋問する始末!さすがにこれはキツイだろ!?こういった「嘘に嘘を塗り重ねた挙句に絶体絶命!」ってインド・コメディではお馴染ですが、この作品でも上手に料理されていました。そしてたいていは「やっぱり嘘はいけないよ」という結末になるのが定番なのですが、それが描かれるクライマックスは相当にド派手なシチュエーションとなっていましたね。いやーイギリス女王っすか!?

アールーシュ演じるアクシャイは馬鹿真面目そうな七三分けのヘアスタイルにおどおどした喋り方でダメダメ振りをたっぷりアピール、一方友人ボブを演じるリテーシュ君は迷惑千万なアールーシュを決して嫌がらずに世話を焼く友情の篤い男として描かれ頼もしいんですね。しかしこのリテーシュ君、今作でもまたもや!ゲイネタで攻めています!いやあリテーシュ君ゲイネタ好きだなあ…。そしてなんと言ってもアールーシュの恋人役ディーピカ・パドゥコーン様!だいたい悪運とか言っときながらディーピカ様と交際できるってどういうことだよ!プロット破綻してるよ!入水自殺しようとしてディーピカ様に助けられるんならオレだって入水しちゃうよ!(オイ)