捨て子の赤ちゃんに3人のプレイボーイが大弱り!?〜映画『Heyy Babyy』

■Heyy Babyy (監督:サジード・カーン 2007年インド映画)


シドニーに暮らす3人のプレイボーイのアパートの前に、ある朝赤ちゃんが置き去りにされていた!?最初はやったこともない子育てに四苦八苦する3人でしたが、次第に子供に愛情が芽生え…という物語です。

出演の3人をアクシャイ・クマール、リティーシュ・デーシュムーク、ファルディーン・カーンが演じ、これに主演作『女神は二度微笑む』の日本公開が決まった(嬉しい!!)ヴィッディヤー・バーランがからむ、というわけです。監督は『Housefull』のサジード・カーンで、これが初監督作。そしてこの物語、フランス映画『赤ちゃんに乾杯!』をハリウッドリメイクした『スリーメン&ベビー』をリメイクした作品(ややこしい)なんですね。

非常に親しみ易い傑作でした。赤ちゃんを拾った3人がすぐに警察に届けないのは、プレイボーイなもんですから、身に覚えがないわけでもないからのようなんですね。捨てた女性を探すも見つからず、仕方なく子供を預かることを決心した3人が、慣れない子育てにドタバタを演じる様がもう相当に笑えます。最初は嫌々だった3人が次第に赤ん坊を溺愛するようになっていく過程も実に微笑ましい。

プレイボーイを演じるアクシャイ、リティーシュ、ファルディーンの3人は演技のコンビネーションが抜群で、特にこの作品でのアクシャイは非常に脂の乗っていた時期だったのではないでしょうか。さらに、出てくる赤ん坊が本当に可愛らしい!女の子なんですが、こりゃ将来美人ちゃんになるねーと思わせる、まさに天使のような可愛らしさなんですよ。

しかし3人の幸せは束の間でした。捨て子の母親が現れ、子供を取り返してしまうんです。彼女の名はイーシャー(ヴィッディヤー)。実は彼女、アクシャイ演じるアールーシュという男とかつて交際しており、その際に身籠った子供だったのですが、アールーシュが浮気したと誤解し、別れてしまうんです。そして赤ちゃんを捨てたのは、未婚の母となったイーシャーを不憫に思った彼女の父親の行動だったんですね。ここでイーシャーを演じるヴィッディヤー・バーラン、本当に大人の魅力に溢れた女性で、作品内では終始つんけんとしていましたが、それでもオレは「素敵な女優さんだなあ…」とうっとりして見入っておりました!

イーシャーは決してアールーシュを許しておらず、子供と一緒に過ごしたいアールーシュの願いを一切聞き入れません。そこで業を煮やしたアールーシュ含む3人のプレイボーイは、赤ちゃんを巡りイーシャーと賭けをします。それはイーシャーが7日以内に結婚したら親権は譲る、というものでした。

そしてここからは、アクシャイ、リティーシュ、ファルディーンの3人が七変化の変装を見せながら、あの手この手でイーシャーの結婚を阻む、という流れになるんですね。こうして前半ハートウォーミングだったお話が後半おかしな変装をした3人がドタバタを演じるナンセンスなコメディと様変わりします。ここで入れ代わり立ち代わり登場する3人の変装というのがもうホントに怪しくてバカバカしくて、サジード・カーン監督の本領発揮というところです。しかもリティーシュ君、この作品でも冴え渡るゲイ演技見せ、「なんでリティーシュ君は映画でいつもゲイ役になっちゃうのだろう…」としみじみと考えさせられます。

さらに!とあるパーティーでイーシャーの結婚相手候補として現れる男役として、とんでもないボリウッド・スターが登場します!オレ、全然知らなかったんでそれまで寝転がって映画観てましたが「うおおおお!?」と叫んで正座してしまいました!このシーンの盛り上がりの凄まじさはもとより、大いに笑わせながら最後は大いに泣かせるこの物語、実に良質のコメディとして完成しておりました。