SFTVシリーズ『GALACTICA ギャラクティカ』終了。

■GALACTICA ギャラクティカ 結:season 4 DVD-BOX2


『GALACTICA』完結編、シーズン4のDVD-BOX2を観終わりました。2003年にアメリカでミニシリーズが放送され、その後2009年の完結まで全4シーズン、70話あまりが放送されたこのシリーズは、機械生命サイロンによる人類の一方的なジェノサイド、僅かに生き残った者たちの絶望的な逃避行、機械生命の執拗な追撃を掻い潜りながら銀河の何処かに存在するという伝説の惑星"地球"を目指す旅、というSFマインド溢れる壮大なドラマが展開していました。

そこでは絶滅戦争、砲弾の飛び交う迫真のスペースバトル、人間と見分けのつかないサイロンレプリカントによる人心の撹乱、古より伝わる宇宙の伝説など、実にSF的なモチーフがてんこ盛りになっていたのと同時に、多彩なキャラクターたちの愛憎や政治的対立がないまぜになった、極限状態における剥き出しのエゴのぶつかり合いを描く人間ドラマとして完成していました。ある意味、『GALACTICA ギャラクティカ』の真の魅力はこの人間ドラマにあったといってもいいでしょう。

特に物語の核となったのは人間そっくりの人型サイロンの存在でしょう。それまで普通の人間として人間社会に身を潜め、ある種のきっかけでサイロンとして牙を向く彼等ですが、そのきっかけがあるまで自分たちがサイロンであることを気づいていない者もいるんです。そして自分がサイロンだと気づいた時、それまで普通の人間として築きあげてきた信頼や愛情が一気に崩壊し、自らの正体をひた隠しにして生きざるを得なくなってしまいます。そういった悲劇が盛り込まれているところが斬新でしたね。

それまでドラマを見続けてきたほうとしても「この人がサイロンだったの!?」という衝撃がありましたし、また、「まだ見つかっていない人型サイロンはいったい誰なんだろう…」と疑心暗鬼になってドラマを見てしまいます。しかしその人型サイロンも、実は血に飢えた絶対悪というわけでもないんです。人類に協力する人型もおり、人型同士の対立もあり、そしてまた、人型自身も自らのアイデンティティに苦悩します。そういった状況の中での虚々実々の駆け引きがドラマに膨らみを持たせています。

これは、うがった見方をするのなら、現在の"戦争"というものの概念が、かつての国家間の殲滅戦であった時代から、テロリズムによる消耗戦へと変化してきたこと、また、ボスニア紛争などに代表される、それまでの隣人が宗教や人種を理由に突然敵対しはじめる内戦の様相などを表しているのかも知れません。そういった部分で、古典的な善悪二元論の対立、「善い人類が悪い敵をやっつける」といったような物語とは違ったアプローチに踏み込んだ物語として、このドラマは評価できるかも知れません。