オレの電車を津波が襲ったッ!?

  • この土日は社員旅行で伊豆・下田に行っていたオレである。
  • しかしその実態は社員旅行とは名ばかり、血糖値とコレステロール値と中性脂肪値がマックスな会社の40オーバーのジジイ(含むオレ)が集まり、さらに事情の分かってない若いもんも何人かたらしこんで、昼夜貫徹でひたすらドロドログダグダととぐろを巻いて飲みまくるというだけの会である、というのが真実なのである。
  • 土曜日我々クソオヤジご一行様は大船から熱海経由でまず河津に降り立ち、そこで毎年2月上旬から咲き始めるという河津桜を眺めながらドロドロと飲み、グダグダになったところで米使ペリー提督艦隊も入港したという下田に到着、そこからまたしてもドロドログダグダと飲み明かしていたのであった。
  • さて翌日日曜朝、酒も抜けきらぬグロッキー気味のクソオヤジどもは帰路につこうと電車に乗り込み、下田から乗り換えの熱海へと向かったが、ここで自分ちにいる相方さんから不穏なメールがオレに届いたではないか。
  • 27日ペルーを襲った大地震の余波で引き起こされた津波が、ランララランと太平洋を横切り頼んでもいないのにわざわざこの日本までやってくるのだという。その為津波警報が出されてるけど沿岸通ってるフモさんは大丈夫かね?というのがそのメールの内容であった。
  • オレはまさか津波で電車は止まらんだろう、とタカをくくっていたが、熱海を過ぎたあたりで車内放送がかかったのだ。
  • オレの乗っているJR東海道線の電車を含む海岸沿いを通るその他の電車は津波到着の様子をみて安全の為停車するという。この時点でもまーさかねーと思っていたが、そう思っていた矢先、東京行きのその電車は急遽到着地を小田原に変更する、という車内放送が再びかかったのだ。
  • そしてオレは小田原に放り出されたわけだが、もとより神奈川の地理など少しも分からないオレは小田原という地名以外ここが関東のどのへんなのかさっぱり分からない。オヤジ仲間ともはぐれたのでオレは一体どうやって帰ればいいのだ?と一瞬途方に暮れたのであった。
  • そういうわけで小田急の駅員に「ズビバゼン、とりあえず横浜まで行きたいのですがオレはどうしたらいいのでしょう?」と泣きを入れ、海老名というところから相鉄線というのに乗り換えて横浜行くがイイさ!ハハハ!と教えて貰ったのである。
  • もとより小田原で降りたのも初めてだし小田急乗ったのも初めてだし海老名に行くのも初めてだし相鉄線とかいうのも殆ど乗ったことが無いオレは不安と絶望で胸が張り裂ける思いだったのである。
  • これを言葉で表すならば「こわいよーこわいよー一人のお使いこわいよー」といったところであろうか。
  • しかしまあオレも大人なので一念発起し、乗った事ない電車で見た事も聞いた事も無い土地を通り過ぎ、ようやく横浜まで辿り着いたのである。ああしんどかった…。
  • その後はぐれたオヤジ仲間たちから携帯に電話があり、未だ止まっている電車があるので半数が足止めを食ったまま居酒屋で昼間っからニエニエになっているというのを聞かされ、ああ、一人でさっさと帰ったオレは流石だなあ!と自らに誇りを覚えた次第である。
  • 降りた横浜駅の構内も津波の影響で津波の影響でと何度も放送が連呼され、この日はあちこちの皆さんもさぞや大変だったことであろう。
  • しかし津波で自分の乗っている電車が止まるとはオレも初めての体験であった。あるんですねえこんなことって。
  • ちなみに「津波で電車が」と聞いてまっさきに思い浮かべたのはかつての円谷特撮のヒーロー”帰ってきたウルトラマン”に登場した津波怪獣シーモンス・シーゴラスであった。沖合から津波を引き連れてやってきた怪獣が日本の沿岸部を完膚なきまでに叩き潰すのである。そういうシーンがあったかどうかは忘れたが、オレの頭の中では、沿岸部の線路を走るミニチュアの電車が大波をくらい海の藻屑と消えていく映像が何度かリフレインされていたこと告白しておこう。

◎竜巻怪獣シーモンスと津波怪獣シーゴラス