ディズニー・アニメ『ボルト』は王道な傑作であった

■ボルト (監督:クリス・ウィリアムズ / バイロン・ハワード 2008年アメリカ映画)


超能力を持ったスーパードッグ、ボルトは飼い主ベニーを狙う悪いヤツラを今日も木っ端微塵に撃砕だ!…とはいえそれはTVの中だけの話。ある日スタジオを抜け出し迷子になったボルトは自分には何の能力もないことを思い知らされる。そして道中知り合った猫やハムスターと一緒にアメリカ縦断の旅に出るが…という物語。

実にそつなく破綻もなく丁寧に作られた、文句のつけようの無いお話で、動物と子供が嫌いな人以外は大人も子供も楽しめるという、あんまりよく出来てるから性格の歪んだオレなんかは嫌味の一つも言いたくなるような傑作であります。それもそのはず、ピクサーがディズニーの完全子会社になったため、ピクサー監督であるジョン・ラセターピクサーとディズニーの両方のチーフ・クリエイティブ・オフィサーとなり、鬼完成度を誇るピクサー・アニメのクオリティがこれからはディズニー・アニメにも適応されるようになったからなんですな。

勿論ただ可愛らしいだけの動物が登場するような物語ではなく、実直過ぎが仇となる主人公の犬・ボルトをはじめ、現実的でシニカルな猫のミトン、何故かいつも透明プラスチックボールに入っているハムスターのライノなど、ちょっとした屈折がそれぞれのキャラにあって面白い。その中でボルトが愛する人間の少女ペニーは観ている者が守ってあげたくなってしまうほどの屈託のない可憐さを見せる。CGによって微細に構築された世界と、アニメーションとしての見せ方の妙もまた名人芸クラスの域であり、特に冒頭のボルト演じるSFアクションドラマなどはこのままこのストーリーで映画が一本作られても楽しそうだったな。

■ボルト 予告編


ボルト [DVD]

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