メタボでもアホでもない!俺たちゃジュニア・ディフェンダーズ!

■メタボ戦隊 アホレンジャー (監督:キース・スピーゲル 2007年アメリカ映画)


やあ!ボクらは正義のヒーロー、ジュニア・ディフェンダーズだ!TVで大人気のちびっ子戦隊4人組さ!まあ大人気だった、が正確だけどね!今じゃとっくにブームも去り、子役だったボクら4人もすっかりしょーもない大人になって毎日グダグダしてるのさ!ところがある日どっかのキチガイマニアックなファンの方がボクらを拉致!新生ジュニア・ディフェンダーズの番組を撮るとか言い始めたから大騒ぎさ!果たしてボクらの命運やいかに!?
いわゆるモキュメンタリー形式のアホアホ・コメディ『メタボ戦隊 アホレンジャー』です。人気子役だった過去とグダグダのおっさんおばはんになっちまった現在との対比がどうにも皮肉な作品に仕上がっています。実際ハリウッド子役でもマコーレー・カルキンとかハーレイ・ジョエル・オスメントとか天才子役ともてはやされながらも、成人して犯罪に手を染めるなどしてすっかり零落した姿を見せる者も少なくないですよね。日本でも白木みのるのように子役だと思ってたら実は立派な大人だったなどという驚愕の事実が発覚したなどということが昔あったよなあ(違)。
物語としては映画『ギャラクシー・クエスト』をちょっと思い出してしまいました。あれも過去の人気番組の出演者たちが落ちぶれた今を晒していたが…というアイロニーを描いた物語だったけど、この『メタボ戦隊 アホレンジャー』はもっと下世話で猥雑なんです。元ジュニア・ディフェンダーズの面々は過去の栄光なんてすっかり忘れ、堕落した現在をテキトーに生きています。そして拉致監禁は本意ではないにしても再結成話には面白がって乗ってくるんですね。
そんないい加減な連中と頭のいかれたファンの作った作品というのがまた学芸会並みにトホホな出来具合なんですが、その馬鹿馬鹿しさ加減が妙に面白かったりするから不思議です。そしてこのグダグダな作品が全米に熱狂的に受け入れられてしまうんです。いってみればある種の劇場型犯罪がマスメディアに取り上げられることで、当事者であるインチキ連中と頭のいかれたファンが時代の寵児となってしまう。アホアホの陰にどこか殺伐としたものを感じさせる映画でした。

■メタボ戦隊 アホレンジャー 予告編


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