『クレイヴン・ザ・ハンター』『BATS 蝙蝠地獄』『モンスター・パニック』など最近観た映画

『クレイヴン・ザ・ハンター』

クレイヴン・ザ・ハンター (監督:J・C・チャンダー 2024年アメリカ映画)

クレイヴン・ザ・ハンター

クレイヴン・ザ・ハンター

  • アーロン・テイラー=ジョンソン
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ソニー・ピクチャーズのマーベル映画シリーズ「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)」の4作目であり最後の作品となった映画『クレイヴン・ザ・ハンター』です。まあ正直、『スパイダーマン』は別格としても(面白いとは言っていない)、SSU作品である『ヴェノム』も『モービウス』も『マダム・ウェブ』も、駄作とまでは言わないが強烈な牽引力に欠けた凡作ではあったなあと思うと、SSU終焉もむべなるかなとは感じさせますね。さてこの『クレイブン・ザ・ハンター』、幼いころにアフリカでライオンに襲われれ瀕死の重傷を負った少年が神秘の霊薬を飲まされたことで超常能力を得たというお話で、この端緒自体SSUの多作品と似たり寄ったりというのもどうなのよとは思うけど、まあそれは置いとくとして、作品自体は実のところ悪くないし十分に面白くできている。実に興奮させられるシーンはあったし、親子・兄弟の葛藤と離反を描くドラマはよくできていたし、最後まで退屈せずに観られた。でもなんというか、SSU映画にはどれも顕著なんだけど物語の線の細さというか世界の広がり方の足りなさというかエンタメ作品としての外連味に乏しくて、観客が主人公に熱狂できないというスーパーヒーロー映画としての一番大きな欠点を抱えているのが致命的なんだよなあ。その辺り『ヴェノム』の1作目はまだ見どころがあったんだが、2作目以降シナリオがグダグダでしょう。ソニー・ピクチャーズってホントにスーパーヒーロー映画商売を運営するつもりがあったんだろうか、としみじみ思ってしまった。

BATS 蝙蝠地獄 (監督:ルイス・モルノー 1999年アメリカ映画)

遺伝子操作ウィルスにより凶暴化した殺人蝙蝠の群れが人々を襲う!という、粗筋だけでもまんまB級なモンスターパニックホラー映画なんですが、これがなんとことのほか面白かった。殺人蝙蝠と対峙するのが生物学者とCDC職員で、その対抗手段が(実際出鱈目だとしても)実に科学的に見せようとしている部分がまず好印象。殺人蝙蝠が実に憎々しく醜悪なのは言うことなしだし、知性が高いという設定もなかなかによい。パニックがあれよあれよと広がり中盤で街一つ壊滅させる展開の速さと派手な見せ場でがっつりハートを鷲掴みし、さらには軍隊まで登場する大盤振舞で心ウキウキ、B級モンスターパニックホラー映画を心底分かってらっしゃる作りとなっている。クライマックスのウンコ地獄と大爆発という素晴らしい展開にこれは隠れた名作ではないかという確信さえ得ました。B級だけど。なんだか深夜TVでやっていてなんとなく観ていたら結構面白かった大昔の映画鑑賞の感覚がありました。というかオレが本当に観たいのはこういうしょうもない映画なんだよ。こういうのがいいんだよ。あとなぜかルー・ダイアモンド・フィリップスが主演です。

モンスター・パニック (監督:バーバラ・ピーターズ 1980年アメリカ映画)

『モンスター・パニック』!投げやりなタイトルと頭の悪そうなDVDジャケットから既にしてうっとりさせられる映画ですね!言うまでもなくB級モンスターパニック映画です。遺伝子操作がアレしてコレした魚類関係の皆さんが巨大化&ヒューマノイド化して善良な漁師町の皆さんを襲う!というたいへんコワイコワイお話なんですね。まあ正直しょうもないっちゃあしょうもない映画なんですが、なんと製作総指揮はあのロジャー・コーマン、特殊メイクに『ザ・フライ』のクリス・ウェイラスと『遊星からの物体X』のロブ・ボッティン、音楽が『タイタニック』のジェームズ・ホーナー、主演がヴィック・モローという、錚々たる面子で作られているんですね。言われてみると確かにモンスター造形はなかなかグロいし、音楽も結構耳に残るものがあるんですよ。とはいえそんなことよりこの映画、登場するモンスターってェのが、男は惨殺するんですが女を見ると交尾をおっぱじめちゃうんですね!元は魚のくせに何考えてんだよオイ!?そういった経緯もあり物語内では必要以上におっぱいポロリや全裸女性が登場します。いやあ不謹慎極まりないですね!やはりロジャー・コーマン恐るべしですね!?