残虐格闘映画『モータルコンバット』はサイキックヒーローバトルムービーだったッ!

モータルコンバット (監督:サイモン・マッコイド 2021年アメリカ映画)

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「ファイタリティ~~~ッ!!」

その残虐描写でイケズなことが大好きな欧米では高い人気を誇る対戦格闘ゲームモータルコンバット(以下モーコン)』。ゲーム自体は1992年から10作以上作られてきたシリーズだが、マニアック過ぎて日本では知名度がイマイチで、プレイしたことがある人は少ないかもしれない。

かく言うオレも特に熱心なファンではないのだが、ターミネーターロボコップが参加する11作目は興味が湧いてプレイしたことがある。いやー、グログロでとっても楽しかったよ! ちなみに「フェイタリティ」とは対戦勝利者が敗者に「トドメの一撃」を食らわす時の言葉で、頭引っこ抜いたりとか体バラバラにしたりとかとにかく切り株流血乱れ飛ぶ残虐描写なんだね!

この『モーコン』はかつてポール・W・S・アンダーソンによって映画化されなんと大ヒット、続編まで作られることになった(続編はアンダーソン監督未参加)。しかしアンダーソン監督、『バイオハザード』の映画化や最近では『モンスターハンター』の映画化で知られているけどゲーム映画の多い監督だね!しかしこのアンダーソン版『モーコン』、同じくゲーム映画監督として悪名高いウーヴェ・ボルが撮ったみたいなヒドイ映画だったよ!面白かったけど!

前置きが長くなったがその『モーコン』がまたもや映画化されたんだ。「なんでまた!?」とは思うけどなにしろそれほど本国では人気が高いゲームということなんだろうな。監督のサイモン・マッコイドはこれが長編デビューらしいが、『アクアマン』『死霊館』シリーズのジェームズ・ワンが製作担当に名を連ねている部分で「おっ」と思っちゃうよね。さらに日本から真田広之浅野忠信の参加があり、予告編を観ると結構イイ感じに活躍しているみたいだから期待も高まるじゃないか。

【物語】胸にドラゴンの形をしたアザを持つ総合格闘技選手コール・ヤングは、自身の生い立ちを知らないまま、金を稼ぐために戦う日々を送っていた。そんなある日、魔界の皇帝シャン・ツンがコールを倒すため、最強の刺客サブ・ゼロを送り込む。コールは特殊部隊少佐ジャックスに言われるがまま女戦士ソニア・ブレイドと合流し、地球の守護者ライデンの寺院へ向かう。そこでコールは、太古より繰り広げられてきた格闘トーナメント「モータルコンバット」の存在と、自分が魔界の敵と戦うために選ばれた戦士であることを知る。

モータルコンバット : 作品情報 - 映画.com

要するに「魔界戦士VS人間戦士」のガチバトルがこの映画となるわけだが、いやー、バカバカしくてとっても楽しかったよ!そういや以前ニコケイ映画『アース・フォール JIU JITSU』なんていうB級作品を観たことがあったけど、今から考えるとまんま『モーコン』のパクリだったんだな!

お話の冒頭は江戸時代日本が舞台。真田広之扮するニンジャと魔界戦士との因縁の戦いが描かれるところから既に興奮度MAXだ!真田ツエエ!真田カッコイイ!惚れそうだぞ真田!でも負けちゃうけど!そこから現代に舞台を移し、いよいよ物語が始まるんだ!

とはいえ今回の『モーコン』、「超常戦士同士の熾烈な格闘トーナメントがにぎにぎしく開催されるのか!?」と思ってたら、なんと魔界戦士軍団の偉い人が「トーナメント開催前にこっそり人間戦士全員ぶっ殺しとけば不戦勝になんじゃね!?」と思いつき、まだ戦士として未成熟な人間戦士たちに刺客を送る!というお話だったんだ!いやあ、さすが魔界の皆さんだけあって卑怯にもほどがあるよね!という訳で初っ端から劣勢に次ぐ劣勢を強いられる人間戦士の皆さんだ!

おまけに守護者ライデンの寺院で一応は保護されるんだけど、「トーナメントまでの1週間で体作って特殊能力とか会得してね」などと無理ゲーを押し付けられる始末!しかもこの戦いに負けると人類が魔界に支配されるという罰ゲーム付き!敵の筆頭はなんでも絶対零度に凍らせるというチート技を持つサブゼロ、こいつがもうハンパなく強い!あと腕が4本あるエヴァンゲリオン13号機を不細工にしたみたいなバケモノもいて勝てる気がしない!おいおい人類大丈夫か!?

『モーコン』はこんなバケモノじみた魔界戦士のキャラクターが楽しくて、さらに魔界の実に禍々しい光景や守護者寺院の怪しげな東洋趣味、全体的にやはり「勘違い東洋」なコスチュームのキャラクターなど、ゲーム譲りのアクの強いビジュアルが独特な世界観を形作ってるんだね。独特っちゅうか「なんか変」に限りなく近いんだけどね!でもこの「変さ」が強烈な印象となってクサヤの干物みたいに癖になってくるんだよな!ゲーム同様の残虐な「フェイタリティ」もしっかり再現され、愉快な肉体破壊が目白押しだ!いちいちゲームのキメ台詞をいう所も盛り上がっちゃうよな!

そして臥薪嘗胆の末に必殺技を会得してゆく主人公ら人間戦士のその後の巻き返しがこれまた素晴らしい!こうして超絶の技と超絶の技が激しい戦いを繰り広げるクライマックスへとなだれ込んでゆくんだ!炸裂する強力なVFXのオンパレードにオレは劇場で「カッコイイ……カッコイイ……!」とアへ顔で連呼していた!それは既に「格闘」の枠を超えた「サイキックヒーローバトルムービー」と言っていいだろう!サイキックヒーローというとマーベルやDCあたりの自家薬籠とも言えるが、この『モーコン』ではそこにさらに残虐ゴア風味を加えることで新鮮で別種のサイキックヒーローものとして観ることができるのだ。 本国では大ヒットしたらしいし続編も匂わせた終わり方だったから、このままシリーズ化されて「モーコン・ワールド」化すると嬉しいな!