少年少女の夏休み/映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム (監督:ジョン・ワッツ 2019年アメリカ映画)

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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品『アベンジャーズ/エンドゲーム』、凄まじい作品でしたねえ。『インフィニティ・ウォー』のあのとんでもないラストをどう収拾させるのか!?と固唾を呑んで観させていただきました。ああしかしこれでマーベル・ヒーロー達の活躍も見納めなのか・・・・・・と思ってたらやっぱり続いてました!タイトルは『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』、あのお茶目なヒーロー、スパイダーマンが主演となる作品です。今回はネタバレ無しでお送りしようかと思います。

物語は『エンドゲーム』のラストで救済された後の世界が舞台となります。スパイダーマンことピーター・パーカーも心に傷を負いつつ、なんとか日常を取り戻し始めていました。そんな彼の通う学校が夏休みとなり、ピーター君と友人たちは学校の企画したヨーロッパ旅行に発つ事になります。ピーターはそのヨーロッパで、かねてから心を寄せていたクラスメイトのミシェルに告白しようと考えていましたが、なんとその旅先で謎のモンスターが登場し大暴れ!「夏休みぐらい満喫させてよ!」涙目のピーターの前にミステリオという名のヒーローが登場し、モンスターを打ち負かします。さらに元S.H.I.E.L.D.長官ニック・フューリーが登場し「今後ともよろしく頼むわ」とか勝手なことをぬかしてる!?果たしてピーターの告白は成功するのか!?

この作品の特色となるのはなんといってもヨーロッパの世界各地を舞台としながら展開するスパイダーマンの戦いと、中の人であるピーター・パーカー君の「スーパーヒーローなのに中味はとってもシャイなボクのウキウキ☆ドキドキ☆夏休みヨーロッパ旅行告白大作戦!?」の行方です。夏休み旅行の開放感の中、大好きなあのコに恋の告白をしたい!でもなんだかモンスターやらニック・フューリーやらが邪魔だてしてにっちもさっちも行きはしない!恋か!?地球の平和か!?究極の選択を迫られるピーター君の悶絶した表情と魂の雄たけびをニマニマしながら楽しむ、というのがこの作品なんですね!?

まあなんといいますかティーンが主人公でティーンが中心となりそのティーンの揺れる心を描く、実に青春ストーリーした物語で、オレの如き死んだ鯖みたいな目つきをした薄汚いメタボ中年にとっては遥か3000光年ぐらい彼方の宇宙を描いた物語ではあるんですが、にもかかわらず大変楽しんで観る事が出来ました。それは次々に移り変わるヨーロッパのロケーションが、観ているこちらも一緒に旅行を楽しんでいるかのような気にさせてくれたのと、ピーター君を演じるトム・ホランドの屈託の無い魅力、ミシェルを演じるゼンデイヤのキュートさにあるでしょう。全体的に溌剌として爽やかで、青春ストーリーとしてとても好感が持てるんですよ。

物語の構成もいいですね。大好きな彼女と過ごせるせっかくのタイミングをモンスター襲来で次々に踏み潰されてゆき「あ゛ーも゛ー!!」とかいいながらスパイダーマンに変身しなきゃいけないというコメディ風味、「彼女に自分がスパイダーマンだって知られちゃいけない!」というお約束ルールを固守するためのあれやこれやのドタバタ、そういった部分の可笑しさでくすぐってくれる。しかし変身したらしたできっちり敵の相手をし、その能力を最大限に生かして大活躍する、という格好良さもあって、この緩急・強弱のタイミング・バランスがいい。

とまあここまで褒めちぎっておいてなんなんですが、今作は、敵が、敵がねー。う~んなんなんでしょう、どうしたらいいんでしょうアレ。ネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、なんか無理がありすぎるよなー、という気にはさせられましたね。ちょっと捻りすぎちゃって逆に捻挫起こしちゃいましたーてな感じといいますか。まあこの辺は実際に観て判断していただきたい、としか言いようがありません。でまあ、例によってこのスパイダーマン・シリーズも、当然MCUもこれから連綿と続けてゆくようです。

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