■ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金 (監督:マイケル・ベイ 2013年アメリカ映画)
ジムトレーラーやってる筋トレだけが生き甲斐の「脳筋バカ」、ダニエル君が、「こんなに筋肉のある俺はもっとビッグな男になっていい!なぜならビッグになるのはアメリカンドリームだから!」と一念発起したのはいいものの、何を勘違いしたか連続誘拐殺人に手を染めちゃう、という日本ではDVDスルーになっちゃったブラックなクライム・コメディです。ちなみにこれ、1994年にアメリカで実際に起こった実話なんだとか。
ダニエル君(マーク・ウォールバーグ)は「大金を手にしてウヒャヒャな生活」をしたいばかりに、トレーラー仲間のエイドリアン君(アンソニー・マッキー)、ム所帰りのポールさん(ドウェイン・ジョンソン)を仲間に引き入れ、身代金誘拐という「とっても綿密なスッゲエ完全犯罪」を遂行しちゃうんですね。でも誘拐したのはいいけれど、やることなすことグダグダのグズグズ、「スッゲエ完全犯罪」どころではありませんでした!なぜって…ダニエル君をはじめとするこの3人が"超"のつくほど【バカ】だったから…!まあ犯罪というのは概して愚か者がやるものですが、この『ペイン&ゲイン』のバカぶりは目も当てられない程です。それも自信たっぷりのバカなばかりに、そのイタさは呆れ返るのを通り越して腹が立ってくるほどです。
この映画は多分、3バカ筋肉の愚かな犯罪行為をブラックな笑いで描こうとしたのでしょうが、本人たちがあまりに頭が悪すぎる上に実話だってこともあって全然笑えず、犯罪それ自体の描き方もエグくて、むしろうんざりさせられるんですよ。物語を語る視点もころころ変わって鬱陶しい。しかもこの映画130分もありやがって無駄に長いんですよ!なんなのいったい。一応監督はあのマイケル・ベイさんなんですが(結構好きな監督さんなんですよ)、こういったジャンルは向いていなかったのでしょうか。むしろ実録ドラマにこだわらず、あくまでモチーフとして使用して、筋肉バカ犯罪コメディに徹したほうがよかったんじゃないのかな。
この映画でうんざりさせられたもう一つの要因はマーク・ウォールバーグの自信満々のサル顔が個人的にいけすかなかった、という部分でしょうか(どうもこのマークさんが苦手なもんですから割とオレの趣味範囲であろう『ローン・サバイバー』も観る気になれないんです)。しかし3バカ筋肉の中で一番ムキムキなドウェイン・ジョンソンはバカ演技に徹していてチャーミングでした。ドウェイン・ジョンソンの筋肉、いいじゃないですか。だいたい筋肉があろうがなかろうがバカはバカなわけで、「こいつら筋肉ばっかり鍛えてるから頭が疎かなんですよ!」という演出もなんだかいただけなかったなあ。ああ…オレも腹筋割れた体になりてえ…でも…努力したくねえ…。
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