今度は返り討ちだッ!!〜映画『サプライズ』

■サプライズ (監督:アダム・ウィンガード 2011年アメリカ映画)


両親の結婚記念日の為、辺鄙なド田舎の一軒家に集まった複数の家族御一行様が、謎の襲撃者の皆さんに一人また一人とぬっ殺されてゆくという大量虐殺系ホラーであります。
このテの映画はもういいやあ、と思ってたんですが、予告編を観るとなんだか雰囲気が違う。どうやら登場人物の一人が襲撃者の皆さんに逆襲ぶっかましているようではありませんか。おお、これはいいかも。
確かに冒頭は正体不明の不気味な襲撃者に御家族の皆さんが一方的に屠殺されてゆくんです。しかーし!主人公女子のエリンさん(シャーニ・ヴィンソン)、「やられてるばっかりじゃ能がねえ!あのクソどもを返り討ちにしてくれるわ!」とばかり、逆襲の準備をはじめるんですね!いや〜ん頼もしい!そして映画はアリガチな大量虐殺系ホラーから襲撃者が勝つかエリンさんが勝つか、というサバイバル・ホラーに転じるんですよ!やんややんや!
それともう一つ、複数の家族が集まったこの物語、年齢の違う男女が集まっているため、襲撃への反応や対処がてんでバラバラなところが面白かったですね。年寄りは泣き喚いてうるせえし、あたふたしてるだけのヤツや腰の重いヤツ、私がなんとかする!と行動するヤツと様々なんですよ。キャラ分けが立ってるんですね。
襲撃者の皆さんも「超自然的な不死身の怪物」ってわけでもなくて、エリンさんにガッツリ打ち負かされたりする。その辺の力の拮抗が、「生きるか死ぬか」の緊張感を生んでいて、このテのホラーの「どうせみんな殺されてお終いなんだろ?ふへっ」という退屈さから上手に逃れることができている。
さらにこの物語、もう一ひねりしてあって、これは観てのお楽しみですが、「逆襲に転じる主人公」なだけではないホラーになっている。あのラストも好きだったなあ。
ホラーっていろいろ新しいことやらないとオレみたいな飽きてくる人間もいるわけだから、この『サプライズ』は面白く観る事ができましたね。「逆襲に転じる主人公」なホラーも探せば他にもあるんでしょうが(オレはコスカレリのTV短編『ムーンフェイス』を思い出しました)、この路線って小気味いいのでまた誰か作っているのがあれば観てみたいですね。もうさあ、やられてるばっかでギャアギャア言って逃げ回るだけのホラーとかホントつまんなくてさあ。
しかし「どうぶつのおめん」を被った襲撃者の皆さんを見て、「アフリカゾウとかイボイノシシとか八丈島キョンとかのお面被ったヤツ出て来ねえかなあ」と思ってましたが、それは単にオレが山上たつひこが好きだからなだけです。

サプライズ [DVD]

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