■モネ・ゲーム (監督:マイケル・ホフマン 2012年アメリカ映画)
- モネの贋作詐欺をもくろむ男と彼が共謀者に選んだカウガール、そしてターゲットとなる億万長者が繰り広げる珍騒動を描いたコメディ。
- 詐欺師を『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、相棒になる女を『メリーに首ったけ』のキャメロン・ディアス、億万長者を『ハリー・ポッター』シリーズのセブルス・スネイプ役、アラン・リックマンが演じる。
- でまあ、役者それぞれの演技は楽しめたのだけれども、演出としてはちぐはぐなものを感じた。
- まず、いかにコリン・ファースが演じているとはいえ、主人公である詐欺師が単なる自己中心的な愚か者にしか見えず、少しも魅力を感じない。
- 映画ではこの詐欺師の愚か者ぶりが笑いを生むことになるが、このような愚か者では巧妙なペテンを仕組む頭脳的な男にまるで見えないのだ。
- いや確かに、ラストでのどんでん返しはさすがに頭脳的であったかもしれない。だが、ここでのカラクリの冴えは、これまでずっと愚か者でしかなかったような男が考え付くとはどうにも思えないものなのだ。
- 一方、彼が騙そうとする億万長者は、傲慢でいけ好かない変態ヒヒジジイとしてキャラクター設定されてはいるようだが、実際物語を見てみると、絶大な権力と財産を持ち、仕事も敏腕な、脂の乗った壮年の男なら、まあこの程度の傲慢さは特に珍しいものでもないだろう、と思えてしまう。
- 逆に、イラつかされる主人公詐欺師よりも、こちらの億万長者のほうが人間的に理解できるし、ある意味嫌いではないキャラクターなのだ。
- だから物語が進むにつれ、共感のまるでできない詐欺師はとっとと失敗して、億万長者がしてやったりとなるような物語にしてくれ、と思えたほどだ。
- ではカウガールはどうか、というと、これもどうにもつかめないキャラで、赤の他人である詐欺師の持ちかけたペテンの共謀に二つ返事で乗りつつも、詐欺師と億万長者との間でふらふらと立場を変え、結局何をしたいのだかさっぱりわからないのだ。
- まあ確かに、利己的で食えない女という設定にしたかったのだろうけれども、キャメロン・ディアスの健康的であっけらかんとしたキャラクターでは、それが生かせていないのだ。
- こんな具合に、キャラクターと演出がどれもちぐはぐで、物語から浮いてしまっている、そんな部分にどうにも煮え切らないものを感じた。
- 脚本はコーエン兄弟。オレはこの二人の作品があまり好きではないのだが、やはり彼らの物語センスの在り方(登場人物たちを突き放して描き過ぎるせいで誰にも共感できない)でひっかかったのかもしれない。
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