『リトル・ブラザー』『リタイアメントプラン 殺し屋の引退生活』 など最近観た配信映画

リトル・ブラザー(Netflix映画)(監督:マット・スパイサー 2026年アメリカ映画)

成功した不動産エージェントのラッド(ジョン・シナ)は、妻や家族とそれなりに順調な生活を送っていた。ところがある日、高校時代にビッグブラザー・プログラムで面倒を見ていた「弟」マーカス(エリック・アンドレ)が突然転がり込んできて、完璧に管理されていた日常が一気に崩壊する。リアリティ番組への出演騒動や実の兄との確執も絡み、予測不能の混乱が巻き起こるR指定のドタバタ・バディコメディだ。

ジョン・シナはお気に入りの俳優なので視聴したが、今作も安定の脳筋木偶の坊ぶりが実に味わい深い。物語の基本テーマは「成功を追うあまり周囲が見えなくなった男が、本当に大事なものは家族だと気付く」という、まあよくある代物である。ただし、この使い古された設定に「ビッグブラザー・プログラム」(困っている子供のメンター=兄になるボランティア活動)を持ち込み、ある日突然、赤の他人を「弟」として受け入れなければならなくなる――というドタバタを仕掛けてきたのが本作のウリだ。

やってきた“弟”マーカスがとにかく迷惑千万なキャラで、ラッドは徹底的に振り回され、いつもブチ切れ一歩手前!実のところこのマーカス、悪意の全くないピュアな性格の男なのだが、あまりのお騒がせ者ぶりに観ているこちらまでイライラさせられてくる。彼の突飛な行動で笑いを持ち込みたかったのは分かるが、正直やることがきつすぎて笑えない場面も少なくなかった。

とはいえ、中盤からマーカスがTVメディアに注目され始め、ラッドの立場や行動が180度ひっくり返るあたりで、話は急にスムーズに転がり出す。最初は被害者然としていたラッドが、実は視野が狭くて思いやりのない男だったということがあからさまになり、今度は逆にマーカスの明るく機転の利く性格の方が好ましく思えてくる。この、主人公への感情移入の仕方がガラッと変わっていく構成こそが、本作の面白いところだ。ここからは笑いのテンポも軽快になり、ラストも程よく丸く収まって、気持ちよく観終わることができる。ただし相当エグいシモネタが連発するので、家族揃って観るのは避けた方が無難だろう。


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リタイアメントプラン 殺し屋の引退生活 (監督:ティム・J・ブラウン  2023年アメリカ映画)

犯罪組織に追われる娘アシュリー(アシュリー・グリーン)と孫娘サラが、ケイマン諸島で隠居生活を送る疎遠の父マット(ニコラス・ケイジ)に助けを求める。元凄腕殺し屋の過去を持つマットの穏やかな引退生活は一転し、ギャングのボスらが迫る中、家族を守るためのアクションが展開する。

いわゆる「ナメてた相手は凄腕エージェント」系の作品だが、箸にも棒にもかからないヌルイ映画であった。ニコケイが出ていなかったら観ていなかっただろう。そもそも「危険な情報の入ったUSBメモリの争奪戦」という物語設定がありきたりすぎてうんざり。シナリオも登場キャラも安っぽく、元凄腕エージェントのはずのマットが単なる普通の隠居爺さんにしか見えず、ケイジの持ち味である大げさ演技も控えめで期待外れ。

ただ、ロン・パールマンの出演は嬉しかった。面倒くさそうに悪事を働くボボのキャラはなかなか味わい深く、存在感があった。とはいえ、少女(孫娘)との交流シーンが出てきたあたりで「ここから物語が少し化けるかも?」と一瞬期待したのだが、結局ただの悪漢に戻ってあっさり退場。実にロン・パールマンの無駄使いで惜しい。このシークエンスをもっと膨らませればそこそこに見どころのある物語になっていたかもしれない。

ニコケイが例によってドタバタを演じるのは伝統芸を眺めているみたいで飽きはしなかったが、物語自体はまるで盛り上がることなく終わってしまう。ニコケイファンなら「まあニコケイらしい映画だな」と済ませられるが、ファン以外の方にはお勧めできない作品だ。


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