■Ladies vs Ricky Bahl (監督:マニーシュ・シャルマー 2011年インド映画)
詐欺師にカモられ怒り心頭となった女性3人が、その詐欺師を探し出し仕返ししちゃおう!とばかりにある計略を練っちゃう、という 2011年公開のインド映画です。詐欺師役をランヴィール・スィン、詐欺師に詐欺しちゃう女性をアヌシュカー・シャルマーが演じており、ブライダル・プランナーを描いた『band baaja Baaraat』に続く共演作となっているんですね。
物語はインド在住の3人の女性がある男の詐欺により大金を騙し取られるところから始まります。ニュースになったその詐欺事件から3人は同じ詐欺師に騙されたことに気付き、男に仕返しするために集まることになりました。その計画とは、友人である敏腕デパート販売員イシカー(アヌシュカー・シャルマー)を資産家の娘に仕立て上げ、ゴアに滞在していることが発覚した詐欺師に接触させて逆に騙しちゃおう!というものでした。詐欺師リッキー・バール(ランヴィール・スィン)はゴアでレストランを経営しており、その経営権を奪ってしまうという作戦だったんですね。しかし、計画は順調に進んでいたにもかかわらず、ある問題が発生してしまいます。それはヴィクラムがイシカーに愛を告白し、そしてイシカーもまたヴィクラムを愛し始めてしまったということだったんです。
とても面白かった『band baaja Baaraat』のコンビ再び!ということで楽しみにして観始めました。物語の構成は前半に3人の女性たちがリッキー・バールに巧妙に騙されてゆく様子と、その3人が結託して報復計画を練るさまを、そして後半は風光明媚な避暑地ゴアを舞台に詐欺師ヴィクラムを騙すべく様々な工作を推し進める3人の女性とイシカーとの巧妙な策略の行方とを描いてゆきます。しかしこういった構成ゆえに、アヌシュカー・シャルマーが後半からしか活躍しておらず、とりあえずランヴィール・スィンが女性たちを騙すさまを眺めているしかないんですね。詐欺に遭う3人の女性はそれぞれに個性的で綺麗にキャラ分けされてはいるものの、こう言うと申し訳ないのですが少々華がないんですよ。同時に、実際に物語が動き出すのは後半からなので、前半1時間余りを使った「仕返しを決意するまでの経緯」が説明的で長く感じてしまうんですね。この辺カットバックを使って回想の形にしちゃってもよかったんじゃないかなあ。
後半はイシカーたちがどのようにしてヴィクラム包囲網を敷いていくかが描かれますが、3人の女性たちがイシカーを資産家の娘に仕立て上げる為、高級な洋服やパーティーをDIYで安価に作成してゆくさまがとても面白いんですね。そんな中イシカーとリッキーの心は急接近してゆきますが、しかしイシカーは表向きは資産家の娘という嘘をつき通しているし、リッキーのほうもそれが本心なのか騙しのテクニックなのか分からないという部分で、あたかも仮面をつけたもの同士が腹の探り合いをしているかのような不信感がクライマックスまで続いてゆきます。この辺の「本当か嘘か分からない恋」といった部分がこの物語の主眼となるのでしょうが、インド映画的なエモーショナルな物語運びを期待していた自分としては、その辺に食い足りなさを覚えてしまいました。また、ランヴィール・スィンは最後まで真意の不明な謎キャラなので、どうにも感情移入できない、という部分が難だったかも。ただし、二転三転する物語はそれなりによくできていたし、ラストの大甘な締めくくり方は逆に好きだったりするんですよ。
それにしてもアヌシュカー・シャルマー、これまで観た作品はどれも自信たっぷりで主張の強いタフな女性として登場しながら、後半は恋愛でデレデレになっちゃう、といういわゆる「ツンデレ」キャラが多く思えましたね、実は強いアヌシュカー自体はそんなに得意じゃないんですが、後半からのデレデレキャラはちょっと可愛らしく思ってしまうんですよ。う〜んオレの女性の好みって…(知らねーよ、という声が聞こえてきそうなでやめます)。