映画『デビルクエスト』はニコラス君がいつものいかめしい顔して活躍する中世ファンタジーだッ!

■デビルクエスト (監督: ドミニク・セナ 2010年アメリカ映画)


「勇者よ!」
「はい枢機卿閣下」
「おぬしにこれからある女を預ける」
「女…?」
「この女は今国中に恐るべき死病を流行らせた魔女と目される女。この女を300リーグの彼方にある修道院に連行し、宗教裁判を受けさせるのじゃ」
「300リーグって…遠くないっすか?ここでも魔女裁判できると思うんっすけど?」
「"ないっす"とはなんじゃ”ないっす”とは。無礼者めが。まあよい。これだけの疫病を流行らせる力を持った魔女であるなら地獄に落とすだけでは事足りぬ。その修道院には魔女の魔力を封印する呪文が書かれた写本が保管されておるのじゃが、それを使って魔力を完全に封じ去る必要があるのじゃ」
「はあ(しゃーねーな)。で、武器装備は貸して頂けるんでしょうね?ミスリルの鎧とか銀河の剣とか、なんかこう最強のヤツ。あとメラガイアーとかアルテマとかスッゴイ魔法使える魔法使いも当然同行ですよね?」
「あー。そーゆーのは無い」
「えええ!?」
「ってかお前和製RPGやり過ぎ」
「そう言われても、この映画、剣と魔法のファンタジー・アクションなんじゃないんですか!?」
「うーん。だってねえ、基本この映画、敵っつっても狼ぐらいしか出ないし。あと魔女がちょこっと幻覚見せるぐらいかな。あとクライマックスはスンゴイ戦い用意しておくけど、この辺は肉弾戦と写本の呪文でどうにかしてよ。だいたい魔女一匹護送するだけじゃん。ビビッてんじゃねーっつーの」
「閣下、いきなりタメ口ですか!?おまけになにその投げっぱなしぶり!?」
「いーからいーから。じゃあさっさと行っちゃって」
「なんか納得できねー!」

というわけでニコラス・ケイジが元十字軍騎士に扮して魔の力と戦う中世ファンタジー映画『デビルクエスト』です。ニコラス君の映画は最近『ドライブ・アングリー3D』なんかも公開されていますから、この夏はまさに《ニコラス君祭》と言っても良い位じゃないでしょうかね。…いやあ、暑苦しい夏だなあ!ドライブ・アングリー3D』も相当B級でしたが、この映画もとことんB級です。ニコラス君、借金返さなきゃならないから出る映画選んでる余裕なんかねーとも言えますが、実際の所、オタクのニコラス君は嬉々として出演したんじゃないでしょうかね。そしていつもの【ニコラス君の頭髪チェック】ですが、今回のニコラス君、頭が金髪で、カツラなのか増毛なのか分かんないですが意外と髪の毛がフサフサとしています。でも中世の騎士なので暑苦しさはいつも通りです。中世だけに風呂入って無さそうなので臭そうな感じは倍増しています。その辺はニコラス・ファンの期待を決して裏切っていないところが心憎いです。むしろニコラス君っていっつも演技リキミまくってますから、こういういかめしいキャラって似合っていると思います。

一方ニコラス君の相方となるのがロン・バールマンさんです。「さっさとヘルボーイに変身して悪魔と戦えばいいのに」という声もあったようですが、自分としてはむしろロンさんの出世作薔薇の名前』の池沼な修道僧を思い出させてくれて楽しかったです。やっぱこういう類人猿キャラが似合いますよねえロンさん。でも一回ラブコメとか出演してみたら面白いかもね。そしてこのロンさんとニコラス君のコンビ振りが実に息が合っていてステキなんですよねえ。二人とも奇面系キャラだからでしょうか。いつかまたこのコンビで映画に出て貰いたいぐらいです。まあ題材はホラーもの以外考え付きませんが。あと後で知ったんですが枢機卿役はクリストファー・リーさんだったんですね。病魔に襲われたおぞましいメイクしてたんでよく分からなかったです。こんなグチャグチャな顔だったら別にクリストファーさんじゃなくてもよかったんじゃ…。

物語は単に「魔女と思しき女をある場所に届ける。いろいろ困難を経て目的地にたどり着くがそこでひと波乱ある」っていうシンプルなものです。映画を90分程度の長さに収めるならこのぐらい簡単なお話で丁度いいんじゃないでしょうか。「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」とか言われても困っちゃうし、「一つの指輪は全てを統べ…」とか始まった日にゃあ全3部合計10時間ぐらいの映画にしなけりゃ終わりません。シンプルとは言っても「ペストと魔女と十字軍騎士」を絡めた部分はなかなかいい着眼点だと思いましたよ。ただ、物語は「囚われの少女は本当に魔女なのかそうじゃないのか」という所を描きたかったようですが、なんか最初ッから怪しい技を使ってるんだから少なくとも怪しい女だってことは分かっちゃってるんですよね。その辺のサスペンスがちょっと下手だったかな。監督は『60セカンズ』『ソードフィッシュ』「ホワイトアウト』のドミニク・セナなんですが、これらの映画ってどうも今一歩詰めの甘いところがあって惜しいんだけど、この映画も嫌いじゃないですがあと一つピリッとした部分を入れれば傑作になったかもしれません。

■デビル・クエスト 予告編


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