アフガニスタンでタリバン撃ち殺しまくりのFPSゲーム『メダル・オブ・オナー(MoH)』である。
これまで第2次世界大戦を題材にシリーズを重ねてきた『MoH』の新作はシリーズ初の現代戦、それも米同時多発テロ直後のアフガニスタン侵攻を描いたものだ。もうひとつの人気FPSゲームシリーズ『コール・オブ・デューティー』が『モダン・ウォーフェア(CoD MW)』でやはり現代戦を描き、相当の人気と売上を記録したことへの挑戦状と思っていいだろう。
しかしイメージ的には『CoD MW』と似ているものの、プレイした感覚はやはり『MoH』なのだ。『CoD MW』は映画的に派手でめまぐるしく変わる沢山の舞台を積み重ね、おそろしく慌ただしい攻撃と四方八方から襲ってくる弾幕で常にハイテンションなプレイを要求されるが、『MoH』はそれと比べるともう少しじっくりとプレイ出来るテンポを持っている。
さらにタイトル『メダル・オブ・オナー』がアメリカの名誉勲章を意味しているように、そのストーリーは勇気や男たちの熱い繋がり、想いを中心に語られるのだ。この辺がトム・クランシーの謀略史観的小説を思わせる『CoD MW』と違うところだろう。今回この『MoH』をプレイしてみて、少なくとも『CoD MW2』あたりよりはオレのプレイスタイルにあっているような気がしたし、楽しめた。言ってみれば今作は十分『CoD MW』と肩を並べられる完成度ではないかと思うのだ。
ゲームとしてはアフガニスタンというロケーションがなにしろ新鮮だ。舞台の殆どは雪に覆われた険しい山岳地帯や草木の乏しい荒地であり、その荒涼とした風景が一種独特の雰囲気をゲームにもたらしている。攻撃ヘリに乗って地上を銃弾で舐めてゆくというプレイもあり、ここでは敵の持つRPGが脅威となっていることも実にアフガン戦らしい。また、空爆要請の可能なシーンもあり、堅すぎる敵の陣地をマーキングし、そこをジェット戦闘機が一気に叩く、という場面は実にカタルシスがある。さらにプレイの殆どは仲間との連携で行動し、自分があたかも軍の一員になったかのようなリアリティをゲームに与えている。銃弾は仲間から全て貰えるので補充も簡単で、落ちている敵の武器を拾って戦う、というのが殆ど無いのも面白い。
それにしても、舞台が911テロ以降のアフガニスタン戦ということで、あまりに近過去であり、世界を揺るがしたテロ事件と関わりある題材であるがゆえに、その戦闘がどこか生々しく感じてしまう。実際、今回の敵はなにしろあのタリバンなのである。ただしゲーム中はタリバンという言葉は出てこず、”敵勢力”とかいう呼び名になっている。
実はこのゲーム、マルチプレイで敵勢力側を選択すると、「タリバンになって米英兵士をブチ殺しまくる」ということになってしまうので、軍関係からクレームが付き、軍施設での発売も禁止されたのらしい。そう言ってしまうとFPSのマルチというのはナチスや大日本帝国軍人になって連合軍兵士をブチ殺しまくることも可能だし、ベトコンになってアメリカ兵たちをなぶりものにするのも可能だ。ただやっぱりタリバンとなると近過去すぎるんだろうなあ。
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