今度の戦いは太陽系全域だ!〜ゲーム『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』


年末になると必ずやってくる寅さん映画のような(もうやってねーっつーの)ゲーム、『コール オブ デューティ』シリーズ最新作でございます。今回のタイトルは『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』、オレは『CoD』シリーズは「とりあえず出たらやる」を繰り返してきたので一体何作目になるのかすっかり定かではありません。ちょっと調べましたが去年が『コール オブ デューティ ブラックオプス3』でその前が『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』でしたか。なるほど。もうストーリーなんか覚えてませんよ。とりあえず銃構えてドンパチやるだけですから。
で、今回の『CoD:IW』、なんと宇宙が舞台です。いや確かにこれまでも(多分『コール オブ デューティ ゴースト』あたり)宇宙ステーション&スペースシャトルで銃撃戦みたいのはありましたが、今作では「太陽系全域に版図を広げた人類」がドンパチおっぱじめる、というお話になります。『CoD』に限らず"近未来戦"が扱われるようになってきたミリタリーFPSですが、ここに来て遂に"近"ではない"未来戦"なんですな。もちろん宇宙を舞台としたSFタイプのFPSは『ヘイロー』をはじめこれまでも存在しましたが、これらはSFを前提として製作されておりましたけれどこの『CoD:IW』はあくまで"ミリタリー"であることに主眼が置かれております。
「どっちだっていいだろ」と言われそうなややこしい話ではありますが、『CoD:IW』は"未来戦"ではあってもSFストーリーをやろうとしているのではなくて、これまでのミリタリーFPSの舞台をそのまま宇宙に移し変えただけのものであるというのが正確です。ミリタリーFPSもいろいろ面倒臭くて、世界大戦やベトナム、アフガンなど史実を舞台にした戦争ものはあれこれ作られてきましたが、現代〜近未来を舞台にしようとすると"敵"となるものの扱いに対してデリケートになってきてるんですな。これまでも現代〜近未来の"敵"としてテロ組織や急進派軍事組織、民間軍事会社なんてのが出てきましたが、あんまり現実とリンクしすぎると政治的商業的にあれこれ面倒なのでしょう。そこでぜ〜んぶ架空の未来の戦いにしてしまえば面倒事がないというわけです。それによる今回の『CoD:IW』ではないかと思うんですけどね。
というわけで未来が舞台となる今回の『CoD:IW』、国際宇宙同盟連合(UNSA)と、反抗勢力の「Settlement Defense Front」(SetDef)の2つの陣営が戦いを繰り広げるというお話になっています。ゲームをはじめるといきなり木星の衛星エウロパでの軍事作戦が始まりびっくりさせられます。戦いはあらゆる惑星とその宙域で用意されており、白兵戦のみならずスペースシップを駆っての敵空母襲撃、また惑星に点在する敵施設の爆撃なんてのも行います。ロボットなんてのも当たり前にいて、ヒューマノイド・タイプのものから戦車級のものまで登場しちゃいます。空母なんてスペースジャンプまでしてしまいます。しかし未来戦とはいえあまり突飛な武器は登場せず、せいぜいエネルギー銃とか無重力爆弾ぐらいなものでしょうか。この辺、あくまでミリタリーFPSであることは外してないんですね。
だからといってつまらないということではなくて、「舞台は変わったがやることはこれまで通りの『CoD』」として安心してプレイできるクオリティではあるんですね。ただどうしても「ぜ〜んぶ架空の未来の戦い」になってしまうと血生臭さといいますが戦いの重みやその背景にある暗さというのが全く無くて、例えばこの間発売された『バトルフィールド1』が舞台を第一次世界大戦に移しただけで相当の血生臭さと歴史の重みを感じさせてくれたものになったことと比較すると、「ぜ〜んぶ架空」であることのしがらみのなさを払拭するのが実はシナリオの重要さということなんではないかと思いましたね。やはり同じく最近発売された『タイタンフォール2』にしても、全部架空のSFドラマではありますがシナリオや舞台設定、キャラ設定の面白さがゲームを引き立てていたと思うんですけどね。こうしてみると今回の『CoD:IW』、決して悪いゲームではないし十分楽しんでプレイしているんですけど、今後の展開はちょっと苦戦するんじゃないかな、と思えましたね。
で、この今回の『CoD:IW』、ソフトによって『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア リマスタード』のダウンロード・コードの付属した『CoD:IW レガシーエディション』というのが発売されているんですね。この『CoD:MW』、2007年に発売されたゲームですが、『CoD』シリーズの名作中の名作といっていいゲームなんですよ。発売当時自分はPCでプレイしてましたが、革新的なシナリオに度肝を抜かれましたね。これのHD化された『リマスタード』、やってみましたがやはり素晴らしく面白い。畳み掛けるような戦闘に次ぐ戦闘、後から後から湧きまくり時として包囲までしてくる敵、久しぶりの『CoD:MW』でしたが最初プレイしたときの緊張感と驚きがそのまま蘇ってきましたよ。あーそっかあ、『CoD:IW』に足りないのはこの「死の恐怖」なのかなあ、と同じメーカーの製品自体が反面教師になってしまっているという皮肉な部分を目にしたような思いでしたね。『CoD:IW』購入を考えてる方はちょっとお高くなりますが『レガシー・エディション』を是非購入してもらいたいですね(今回もゾンビモードがありますが手が回っていません・・・・・・悪しからず)。