KU:NELという雑誌を買う。この間の天然生活もそうだったが、いわゆる女性生活誌ってやつなんだろうか。
例によって日常の他愛ないスナップショット、決して高価ではない気の効いた小物、簡単に作れて健康的な料理、心地の良い衣類、目に優しい穏やかなアート、そして家族の優しい微笑みで満ちた穏やかなトーンの編集である。郊外に住むニューエイジな主婦やファッション雑誌には内実を感じない若い女性向けなんだろう。ただやはり都市生活をするものにとっては結局は「静かで豊かな田舎暮らし」に似たファンタジーなんだと思う。とても素敵だと思って、全部のページを眺められるけれど、オレの現実には完璧なぐらい無関係だからである。いや、無関係、と言いつつ眺められるのは、オレ自身もこういう生活に憧れているからなんだろうな…。
前も思ったが、何処が男性誌と違うのか、ということだけれど、圧倒的に欲望の質が違うって事でしょうか。
男性誌ってまずモノ、モノ、スピード、社会的ヒエラルキー、勝ち負け、セックス、ですもんね。この圧倒的な渇望感。うわあ、自分で書いてて気持ち悪くなったぞ。本当にオレに縁のないものばっかりだな!あ、モノといえば200体のフィギュア君があるか!
それに対してこれら女性生活誌には「すでに充足している」という揺ぎ無い幸福感に満ちている。しかしこのあまりの差はなんなのだろう。これは男性と女性の幸福というものに対する観念の違いなのだろうか。だとすると、男と女の和合に幸福の接点はあるのだろうか。いや、だからこそこれらは補い合うということなのかな。しかし男社会でもダメダメで、かといって女性的でもない、オレのようないびつな人間にとっての幸福、という回答は、やはりこの中にはないような気がした。