幸せの情景〜映画『SOMEWHERE』

■SOMEWHERE (監督:ソフィア・コッポラ 2010年アメリカ映画)

■アンニュイとセンチメンタル

ソフィア・コッポラブルジョワジーのアンニュイとセンチメンタルを描きたがる映画監督だ。第1作『バージン・スーサイズ』は未見だが、2作目『ロスト・イン・トランスレーション』は「海外旅行先はとっても素敵!だけどちょっぴり寂しいの」というおセンチ映画だった。続く『マリー・アントワネット』は「王女さまの生活ってとっても素敵!だけどちょっぴり寂しいの」といったガーリー&おセンチ映画だった。登場人物はスターという名の貴族階級とそれこそ本当の貴族階級。だから平民みたいに目の色を変えてガツガツ消費するんじゃなくて、それが当たり前のことのようにゆったり大量に蕩尽する。作品は物語それ自体で牽引していくのではなく、ブルジョア趣味をそこここに並べ、「でもそれだけだと何かが足りないの」とアンニュイでセンチメンタルな"雰囲気"でオチをつける。

そして今回の『SOMEWHERE』もやはり、ブルジョワジーのアンニュイとセンチメンタルについての映画である。物語は例によってあってないようなものだ。優雅だが無為な日々を過ごすハリウッド・スターの主人公、ジョニー・マルコ(=ステファン・ドルフ)。華やかな生活とは裏腹に空虚な心を抱える彼の元にある日、別れた妻との子がやってくる。その娘クレオエル・ファニング)はまだあどけなさの残る11歳。その日からジョニーとクレオの生活が始まる。LAの瀟洒なホテルでの気ままな毎日、映画賞授受の為訪れたイタリアでのひととき、そして再び戻ったホテルでの、親子水入らずの食事、ゲーム、プールサイドでのうたた寝。しかしジョニーがクレオと別れる日がいつしかやってくる…。

■幸福の情景

ハリウッド・セレブの暮らしにも、高級車にも、洒落のめしたホテルにも、イタリア旅行にも、オレは興味は無い。そういうのがもしあったら楽しかったりするのかもしれない、しかしそれはオレの現実とは全然関係ないし、現実にしたいとも思わない(まあしかし、「出張ポールダンス」には激しく憧れたが!あれはいい!)。この映画で描かれるアンニュイも、センチメンタルにも、興味は沸かない。だから、あの結末もどうでもいいし、そもそも、物語それ自体も、どうでもよかったりする。ただ、こういった生活感の無い暮らしの情景というものに、絵的に憧れる自分というのは、実はいる。自分の生活と掛け離れているからこそ、自分の現実を思い出す必要が無いという意味において、ここで描かれる光景というのは、うっとりと眺められる、架空の、別世界を映す窓のような、美しい光景の溢れた世界に見えるのだ。

この映画で、親子であるジョニーとクレオは、まるで気の置けない恋人同士のようだ。出会いの頃の情熱的な関係はすっかり落ち着いたものになり、交わす言葉こそ多くは無いけれど、ただ二人で一緒にいるだけで満ち足りた気持ちになれるような、お互い同志が空気であり水であるような、そんな恋人同士。そこにはドラマチックなものは存在しないけれども、ただひたすら、平和と平穏が、そして愛情がある。それは幸福の情景だ。確かにこの映画はブルジョア趣味に満ち溢れているが、「気の置けない誰かと、穏やかな日々を過ごしたい」という、幸福の基本とも言える願望は、例えどんな生活背景を持っていようと、誰しもが抱くものであるはずだ。監督であるソフィア・コッポラは、たまたまその心情を、父フランシス・フォード・コッポラと過ごしたであろうハリウッドでの生活をなぞって描いただけに過ぎないのだ。だからこそ、オレの現実とは掛け離れた情景を描きながらも、心情的には、とてもフィットするものを感じる映画だったのだ。

■ところでエル・ファニングたんはメッチャキャワイかった!

まあいろいろ書いたが、実はこの映画の本当の見所は、娘役で出演しているエル・ファニングたんのロリぶりだ!エル・ファニングたん素晴らしい!素晴らしいったら素晴らしい!エルたん("たん"って言うなオレ)は1998年4月9日生まれの12歳(おおお明日誕生日ではないか)、あのダコタ・ファニングの妹さんで、ダコタたん(だから"たん"って言うなオレ)も相当可愛らしくてオレはこっそりファンだったりするのだが、妹さんまでこんなに可愛らしいとは、ここはやはり姉妹まとめてこのオレがああこれ以上書くとジャック・ケッチャムの小説並みに猟奇と鬼畜の世界に行っちまうぜああヤヴェえヤヴェえオレもうまともな世界に戻れないんだぜグヘヘ、とまあ、このぐらいキャワイイのである。主演のおっさんの悲哀なんぞ実はどうでもいい!この映画は、エル・ファニングたんのキャワイらしさをひたすら愛でる為に存在していたのだ!見よ、エル・ファニングたんのキャワイらしさを!キャワイイなあ!キャワイイなあ!(結局これを言いたかった)
 
 

ヴァージン・スーサイズ [DVD]

ヴァージン・スーサイズ [DVD]

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

マリー・アントワネット (通常版) [DVD]

マリー・アントワネット (通常版) [DVD]