リメイク版『みんな元気』はなんだか元気の無い映画だった!?

■みんな元気 <未> (監督:カーク・ジョーンズ 2009年アメリカ・イタリア映画)


『ニューシネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本の作品『みんな元気』のアメリカ版リメイクで、ロバート・デ・ニーロドリュー・バリモアケイト・ベッキンセール、というそうそうたる出演陣で撮られた家族ドラマなんですけどね、日本では未公開&DVDスルーであります。まあ最初に言っちゃうとDVDスルーも止むなしかなあ、といった地味〜な作品だったんですけどね。お話の方は妻に先立たれ一人暮らしをしているおっちゃんフランク(ロバート・デ・ニーロ)が、都会で暮らす4人の息子娘たちに会いたくてバーベキュー・パーティーを企画するものの全員がドタキャン、寂しくてたまらないフランクはじゃあ自分が子供たちのところに会いに行こうじゃないか、と決意するところから始まるんですな。しかし子供たちはみんななんだかよそよそしいし、息子の一人は音信不通で、そのことについて子供たちは何か隠しているようなんです。
まずな〜んか違うなあ、と思ったのは、デ・ニーロが成人して家庭も持っている子供が4人もいて、さらに身体に持病を持っている親父に見えないんですわ。デ・ニーロの演技はペーソスたっぷりでいつも通り悪くないんですが、どうにも若々しくてかくしゃくとして見えてしまうんですよ。もうちょっとこう、体形が崩れててしょぼくれた表情の似合う俳優さんの方が良かったんではないかしらん。あと息子娘たちっていうのが、画家だったり広告代理店の重役だったりオーケストラの演奏者だったりショーダンサーだったりと、成功の度合いはそれぞれ違うとしても、どちらかというとアーチスト関係に固まってるっていうのが、なにこの芸術家家族?とか思わせちゃってな〜んか嫌みったらしいんですよね。いや、芸術家家族だから嫌みったらしいというのはオレのコンプレックスとルサンチマンが思わせてるだけなんですけどね。なんかこう、「ケッ」と思っちゃうんですよね、芸術家家族ってやつにはね。スイマセン個人的な話で。
それと、行方不明の長男ってがまあワケアリなんですが、この長男の消息を、息子娘たちが最初っから親父に教えようとしないのが不思議なんですよ。はっきり様子が分かってから、っていう理由らしいんですが、まず最初に親父に教えねえかなあ、そんなもんじゃねえのかなあ。オリジナルのイタリア映画のほうは観ていないんですが、これがイタリアで家族ドラマだともっと情感たっぷりにわあわあぎゃあぎゃあとやるもんじゃないかと思うんですよ。なんかそういうところが抜けたままアメリカに舞台を持ってきちゃったから、味わいの無い地味な映画になっちゃったんではないかなあ。

みんな元気 [DVD]

みんな元気 [DVD]