『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』はちょっとどころかかなりおかしかった!

■ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式 (監督:フランク・オズ 2007年アメリカ・ドイツ・イギリス・オランダ映画)


マペット・ショー」で有名になり、さらに『ダーク・クリスタル』『リトル・ショップ・オブ・ホラー』を監督し、『スター・ウォーズ』シリーズでヨーダの声も演じたフランク・オズによる、ちょっとブラックなお葬式ドタバタ・コメディ。

父の葬儀のその日、方々から親戚知人が集まるというのに、喪主のダニエル(マシュー・マクファディン)は妻ジェーン(キーリー・ホーズ)と新居の費用で揉め、まわりからNYで成功した弟ロバート(ルパート・グレイヴス)とあれこれ比べられ、心底うんざりしていた。そこにやってきた従妹マーサ(デイジー・ドノヴァン)の婚約者、サイモン(アラン・テュディック)の様子が何かおかしい。実はサイモンは薬学部在学中の弟トロイ(クリス・マーシャル)の部屋で精神安定剤と間違って幻覚剤を飲まされていた!ラリホー状態のサイモンにおおわらわになっていたダニエルにさらに問題発生!葬儀に来ていた怪しい客ピーター(ピーター・ディンクレイジ)が、「実はボク、お父さんの生前の恋人だったんだ…」などと、とんでもないことを言い出すではないか!果たして葬儀は無事終了するのか!?

基本的にはアメリカ製作ではあるものの、フランク・オズのイギリス人らしさが上手く生きたブリティッシュ・コメディ風の作品に仕上がっている。そのせいか演出も実に品があり、これはいつも下品でシモネタ連発のアメリカン・コメディばかり観ているオレには新鮮だわい…と思っていたら、物語は次第に雲行きが怪しくなり、ヤクでラリホーなサイモンは素っ裸になって屋根に上り始めるわ、小人の客ピーターはホモネタでダニエルを困惑させるわ、車椅子のオヤジは「誰かオレのウンコの世話をしろ!」とわめき始めるわ、いろんなものがどんどん収拾付かなくなっていく様子が実に可笑しく描かれてゆく。いったいこの混乱をどう収めるんだ!?と見ているこちらまでドキドキハラハラし、それでもやっぱり最後は品良くスマートにまとめ上げるところに監督フランク・オズの手堅い演出力を感じた。

品の良さは小奇麗にまとまったセット、そして配役の良さにも現れている。実のところどの俳優がどんな俳優なのか、というのはきちんと把握していないオレなのではあるが、どの俳優も実に味わい深い顔つきと印象に残る演技を見せ、ここでは書ききれない様々な登場人物たちが絡み合いながら、いちいちチクチクと笑いを盛り上げてゆくところなんか本当に上手いなあと感じた。ちょっぴりシモネタは入るものの万人に受ける物語要素とストーリー展開を見せ、誰にでも安心してお勧めできるコメディなのではないかと思う。そんな中でオレが一番気になったのは怪しい客ピーター役のピーター・ディンクレイジ。いわゆる小人な俳優の人なんであるが、誤解を恐れずに言うならばこの小人であるっていうだけで十分怪しさを醸し出しており、ミニ・ミーや「ツイン・ピークス」の小人の人のような圧倒的な存在感を見せつけ、本当に目が離せなかった!『ヒューマンネイチュア』『ペネロピ』『ナルニア国物語第2章』なんかに出演している俳優さんらしいですよ。

■ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式 予告編