『パーフェクト・ケア』は「狂暴怪獣史上最大の大決戦映画」だったッ!?

パーフェクト・ケア (監督:J・ブレイクソン 2020年アメリカ映画)

認知症になり判断力を失ってしまった老人の財産や権利をどうやって守ればいいのか?こういった老人への支援制度として「法定後見制度」というのがあるらしいのですが、これは第三者が判断能力の無くなった老人の代理となって法的執行を行える制度なのだとか。とはいえ、あれこれ問題も孕んでいるようなのですよ。

さて映画『パーフェクト・ケア』はこの「法定後見制度」を悪用し、「あなたの老後を完璧にケアします!」とばかりに老人に近寄り、強引に認知症に仕立て上げて介護施設に監禁し、その資産を骨の髄まで搾り取る!という悪徳後見人を描いた作品なんですな。そしてその悪徳後見人を演じるのが『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイク!いやー『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイク、サイコーにクソビッチでしたね!これは適役だわ!

とはいえこの作品、単に「悪徳後見人」を描いた社会派胸糞映画ではありません。実はその「悪徳後見人」のさらに上手が登場し……という予想を上回るハードなブラックユーモア作品となっているんですね。共演は『ゲーム・オブ・スローンズ』のピーター・ディンクレイジと『ベイビー・ドライバー』のエイザ・ゴンザレス。監督は「アリス・クリードの失踪」のJ・ブレイクソン。ちなみにロザムンド・パイクはこの作品で第78回ゴールデングローブ賞・主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞しています。

【物語】法定後見人のマーラの仕事は、判断力の衰えた高齢者を守り、ケアすること。多くの顧客を抱え、裁判所からの信頼も厚いマーラだが、実は裏で医師や介護施設と結託して高齢者たちから資産を搾り取るという、悪徳後見人だった。パートナーのフランとともに順調にビジネスを進めるマーラだったが、新たに資産家の老女ジェニファーに狙いを定めたことから、歯車が狂い始める。身寄りのない孤独な老人だと思われたジェニファーの背後には、なぜかロシアンマフィアの存在があり、マーラは窮地に立たされるが……。

パーフェクト・ケア : 作品情報 - 映画.com

年寄りを騙して甘い汁を吸う!日本じゃ「オレオレ詐欺」なんてェのがありますが、主人公マーラのやってることはそれ以上、合法的に年寄りを施設に死ぬまで監禁し、その資産を何もかも奪い去ってしまうんですから極悪中の極悪です。死んだら地獄に堕とされてウンコ地獄でウンコの海に未来永劫漬けられているような女です。そんなマーラが目を付けた新たなターゲットは身寄りのない金持ちの婆さん、今回も上首尾に施設に叩き込んだと思ったら、なんとその婆さん、ロシアンマフィアのボスと繋がりがあったんですな!

そしてこのロシアンマフィアのボス、ローマンを演じるのが個性派俳優ピーター・ディンクレイジ!うおおう好きだぜピーター・ディンクレイジ!『ゲーム・オブ・スローンズ』のティリオン・ラニスター役最高だったもんなあ!ということはアレですよ、この映画は「怒らせた奴は実は最凶エージェントだった映画」の亜流ともなる映画ってことなんですかー!?やれやれやったれやローマン!善良な老人に仇なすクソビッチをギタギタにいてこましたれや!

……と思ってワクワクしつつ観ていたら、なにやら雲行きが怪しいんですよ。そりゃあ最初はマーラも劣勢で、ローマンから脅迫され監禁され死の恐怖を味わわされます。しかーし!やられているばかりのマーラではありません!なんと彼女はそこから攻勢に打って出るんです!さすが死後にウンコ地獄の待つクソビッチ!肝座りまくってるわ!だいたいロシアンマフィアの連中も締まりのないダサいやつばっかっていうのもあるんですが!ここでのロザムンド・パイクは『ゴーン・ガール』そのものの「転んでもただでは起きない最悪のクソビッチ」を演じ、呆れかえるほど胸糞悪いです!

こうしてかたやゴジラ、かたやキングコングという、人類の命運さえ脅かす最凶の狂暴怪獣と化した悪党二人が、お互いの生命を賭した熾烈極まりない頂上戦を演じるというのがこの作品なんですな!この二人が戦った後には草木も生えず瓦礫すら残らない!?この史上最大の戦いで生き残るのはどっちだ!?最高にイヤらしいクライマックスは映画を観て確かめてください!いやあ、エゲツなかったなあ!