壊して、殺して、喰う。/映画『ヴェノム』

■ヴェノム (監督:ルーベン・フライシャー 2018年アメリカ映画)

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宇宙からやってきたグチャグチャヌチョヌチョしたナニカと合体したら凶悪強大なモンスターになっちゃったよ!というマーベル映画『ヴェノム』です。一応書いとくと主演が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ダンケルク』のトム・ハーディ、監督は『ゾンビランド』『ピザボーイ 史上最凶のご注文』のルーベン・フライシャーということになってます。

しかしこのヴェノム、「宇宙からやってきたナニカと合体」という部分で『寄生獣』を思わせるし、なにやら『デッドリー・スポーン』みたいに歯並びの悲惨過ぎるこわーい顔してるもんですから、最初は「ホラー展開なマーベル映画なのか!?」とちょっと思っちゃいますよね。

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歯並び悪すぎ。
寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)

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デッドリースポーン [DVD]

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確かにダーク展開っちゃあダーク展開なんですが、このヴェノムと憑りつかれたエディ(トム・ハーディ)との掛け合いがなんだか可笑しいもんですから、ネットでは町山さん辺りが「ど根性ガエル」を引き合いに出して「ちょっとお茶目な二人羽織映画」的な評価もされてるようですね。

しかしオレとしては「宇宙からやってきたグチャグチャヌチョヌチョしたナニカと合体したら凶悪強大」って部分でまず平井和正SF小説『死霊狩り【ゾンビー・ハンター】』と桑田次郎によるその漫画化作品『デスハンター』を思い出しちゃったな(どちらもトラウマ級の名作なんで是非ご一読を)。 

死霊狩り【ゾンビー・ハンター】〔全〕 (ハヤカワ文庫JA)

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デスハンター(上) (マンガショップシリーズ)

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デスハンター(下) (マンガショップシリーズ)

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あと「宇宙からやってきたグチャグチャヌチョヌチョしたナニカ」というと深作欣二監督がオール外国人キャストで製作した日米合作SF映画『ガンマー第3号 宇宙大作戦』をどうしても思い出しちゃうなあ!

ガンマー第3号 宇宙大作戦 [DVD]

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そして「宇宙グチャヌチョ」といえば忘れてはならないのは『マックイーン絶対の危機』 でも知られる『人食いアメーバの恐怖』、さらにそのリメイク版『ブロブ/宇宙からの不明物体』でありましょう!

マックィーンの絶対の危機(ピンチ)-デジタルリマスター版- [DVD]

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ブロブ/宇宙からの不明物体 [DVD]

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 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で名を馳せたジェームズ・ガン監督の初期作品『スリザー』なんかもこの「宇宙グチャヌチョ」路線ですね!

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最近公開された 「宇宙グチャヌチョ」ですと『ライフ』 がありますが、ちょっと待って、今回の「ヴェノム」が生み出された切っ掛けが「ライフ財団」という後ろ暗い企業のせいだったんですが、ひょっとして映画『ライフ』と地続きになってるのか!?(違う)

まあこうして見ると、宇宙ってェのはグチャグチャヌチョヌチョしたものだらけってことなんですかね!?

 さてこの「宇宙グチャヌチョ」が人間と合体すると「ヴェノム」になるんですが、なんかトッド・マクファーレンの創造したダーク・ヒーロー「スポーン」と似てない事もないなあ、と思ってたら、「ヴェノム」を生み出したのがマクファーレンだったことを映画観て初めて知りました。

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スポーン ディレクターズカット [Blu-ray]

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 そしてこのヴェノムが変幻自在な「グチャヌチョ」ぶりを活かして戦う様は、残虐すぎて日本で発売されなかったゲーム『Prototype』そのものなんですよ!(ゲームは後発なのでヴェノムの影響なのかも)

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グチャヌチョをチュドーン!
PROTOTYPE (輸入版) - PS3

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とまあそんな『ヴェノム』なんですが、映画としては割と順当というか想像から殆ど外れることの無い展開で、良い意味で言うなら「安心して観られる娯楽作」の範疇に留まった、といった所でしょうか。とはいえ正義の超人たちが「正義!正義!正義!」とかまびすしいほど連呼してうんざりさせられる昨今のヒーロー映画と比べるなら、「壊して、殺して、喰う」ことを基本動作としているこの『ヴェノム』は清々しいほど自己中心的で自分に正直なヒーロー(?)として大いに楽しむことが出来ましたね。

そういや「清々しいほど自己中心的で自分に正直なヒーロー」ってもう一人いましたね。そう。「オレチャン」こと『デッドプール』ですよ!やっぱこれからのヒーローは「正義なんか知らない」「自己中」なヤツが「来る」ってことなんでしょうか!?ってェことはモラルゼロで自己中なオレの時代もこれからやって来るってことなんでしょうかッ!?(いや来ない)

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いや、「シザーハンズ」ちゃうて


ヴェノム - 映画予告編

ヴェノム:リーサル・プロテクター (ShoPro Books)

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