最近ダラ観したDVDなど〜ダニー・トレホ主演作2作 『バッド・アス ジャスティス・リターンズ』『闇金USA』

■バッド・アス ジャスティス・リターンズ (監督:クレイグ・モス 2014年アメリカ映画)


いい歳した爺さんが町のチンピラ懲らしめて大注目、世間からはヒーロー扱い!?というダニー・トレホ主演の『キック・アス』便乗映画『バッド・アス』にまさかの続編が登場であります(前作『バッド・アス』のレヴューはこちら)。
いやーオレ、ダニー・トレホって大好きなんですよ。あの鬼顔が。なんかこう、「ただならぬ人生を歩んできた」っていう物凄いコワイ顏してますよね。『マチェーテ』とか最高じゃないですか。フィギュアまで持ってるもん。そんなトレホ兄ィの新作、しかも主演作と聞いたら、こりゃ観ないわけには行きません。
そして今作ではトレホ兄ィ、なんと麻薬組織に喧嘩売ります!「マチェーテ」のトレホ兄ィならまだしも、今作みたいな単なるジジイに相手になるのか!?と思われるかもしれませんが、実は『バッド・アス』でのトレホ兄ィ、ベトナム帰還兵っていう設定なんですね。だから一見よぼよぼしててもやるときゃやる!ジジイのクセに相当強い!それでもやっぱりよぼよぼ戦いますが!
そして今作では心強い相方が登場します。これがなんと「リーサル・ウェポン」シリーズの名優ダニー・グローバー。いい味出してるんですよ。やっぱりよぼよぼなんですけどね。しかもダニー・グローバー演じる雑貨屋店主のバーニー、彼がまたジジイのくせに結構強い。なんでこんなに強いのか?というとホッケーやってたからなんですね!…ってなんだか説得力薄いんですが、よく分かんないけどなにしろ強いんです。そして雑貨屋店主バーニーが戦いに赴くときのコスチュームというのが上下黄緑のジャージ、というのがヘボくてカッコいい!
というわけでとっくに還暦を過ぎたジジイ二人がタッグを組み、「Wバッド・アス」となって加齢臭撒き散らしながら暴れ回る!というのが今作での醍醐味です。この二人がお互いをクソジジイだなんだと言い合い、減らず口叩きながら戦いを繰り広げてゆく、そんなバディ・ムービーとしての楽しさが今作にはありますね。ある意味トレホ兄ィがピンで戦ってた前作よりも面白く観られるんですよ。まあなにしろジジイ二人が主人公なだけに、お話の内容やアクションは結構グズグズでジジイ並みにヨタヨタしてるんですが、元気なジジイが暴れ回る様を観られるのはそれはそれで愉快でしたよ。

闇金USA (監督:クリストバル・クルーセン 2010年アメリカ映画)


タイトルが『闇金USA』でダニー・トレホ主演、という謳い文句から「おおこりゃ闇金屋の悪夢のような借金取り立てがテーマになったとってもサスペンスフルなクライム・アクションに違いない」と思って観てみたらさにあらず。ダニー・トレホ闇金取り立て屋なのは間違いないが、主人公はトレホに借金取り立てを迫られる債権回収会社役員ロレンゾ(ゲイリー・レイ・ムーア)。トレホは最初と途中と最後にちょっと出て来るだけ。物語はこのロレンゾがどう借金の金を工面するか?が描かれるんだが、セットはセコイし役者は魅力ないし話の流れはどうにもユルイし、「あーまたババ掴まされたのかー」とかなり脱力気味に観ていた。
ところが、ロレンゾが教会の運営する「人生充実センター(LEC)」に集まる失業者に仕事をさせる事を思いついたところから話が突然面白くなるのだ。ロレンゾは職業訓練と称して失業者に無償で仕事させ、その浮いた金を横領して借金の返済に充てようとしたのだが、失業者たちは仕事を斡旋してくれたロレンゾに感謝し尊敬の念を抱き、おまけに業績がバリバリと上がってしまうのだ。単なるチンケな小悪党でしかなかったロレンゾが私利私欲でやったことが、結果的に多くの人の心に希望を宿してしまう。これ、なんかに似てないか?と思ったら、なんとこれ、『シンドラーのリスト』を換骨奪胎したシナリオってことじゃないか!?
そしてこの中盤ぐらいから魅力的な役者もちらほらあらわれ、ロレンゾの善悪の陰影に富んだ性格が物語に深みを加える。確かに低予算丸出しだし地味なことこの上ないし、誰にでもお勧めできる映画ってことは決して無いのだけれども、オレは少なくともこの映画、「この先どうなるんだろう?」と途中から結構興味津々で観てしまったのは確かだ。突出したものは無いにせよ、どこか非凡なセンスがキラッと光るシナリオだったのだ。苦い部分もあるが希望のあるラストの余韻もいい。多分世界でもこの映画を褒めるのはオレだけなような気もするが、ちょっとした掘り出し物を見つけた様な気はした。