ダニー・トレホ兄ィが地獄から蘇って敵を討つ西部劇『トゥームストーン/ザ・リベンジ』

■トゥームストーン/ザ・リベンジ (監督:ロエル・レイネ 2013年アメリカ映画)


オレの大好きな【鬼顔の歩くエレクチオン】ことダニー・トレホ兄ィ主演のホラー・ウェスタン映画です(ホラーの部分はほとんどないんですが)。お話はならず者集団のボス、ゲレロ(トレホ兄ィ)が仲間の裏切りに遭って殺されちゃいますが、堕ちた地獄で冥界の番人ルシファーと、再び地上に戻って裏切った6人の仲間を24時間以内に全部ぶっ殺して来れば命を助けちゃるよ?という契約を結ぶんですね。かくしてトレホ兄ィの復讐の戦いが始まる!というもの。監督はロエル・レイネ、誰なのこの人?と思って調べたら『デス・レース2』『デス・レース3 インフェルノ』の監督さんでありました。この2作、結構面白かったな。
地獄の悪魔をミッキー・ロークが演じてます。でもミッキーさん、デブデブすぎて悪魔に見えません。しかも例によって顔が変形しまくっているので、最初ミッキーさんということもよくわかりません。最初デブデブの体形だけ見てヴァル・キルマーかと思っちゃいました。旦那の保安官を殺されトレホに協力するヒロイン、カラテア・マッセーをディナ・メイヤーが演じており、なかなかに熟女の色香をふりまいていてオレは結構お気に入りでした。この人、あの『スターシップ・トゥルーパーズ』でディジー・フロレス役を演じていた女優さんですよ。
しかし実際の所、トレホ兄ィ主演!ということ以外、特に見るべきものの無い凡作に仕上がっちゃってます。銃撃戦やら殴り合いやら爆発やら派手にはやってるんですが、なーんといいますかまるで緊張感もサスペンスも興奮させられるシーンも無くてね。ただ漫然とバンバン撃ってガシガシ殴ってボンボン爆発しているだけなんですよ。いったい何でこうなったんだ!?と思いましたが、意外と主演のトレホ兄いのせいかもしれなくてねぇ。
といいますのはトレホ兄ィ、1944年生まれの69歳、とうに還暦も過ぎたお爺ちゃんでありまして。癖の強い脇役としてアクション映画には多く出演はしていたでしょうが、基本的にちょい役殺され役、出ずっぱりでアクション映画出たのは例の『マチェーテ』(レヴュー)が多分ほぼ初めてでしょう。しかしオレの心の映画として数え上げられるこの『マチェーテ』ですら、あたかも往時のジャイアント馬場の如く、全然体動いていないんですよ。トレホ兄ィ主演で2012年制作の日本未公開映画『バッド・アス』(レビュー)でも、やーっぱり動けてなかったよなァ。
この映画『トゥームストーン/ザ・リベンジ』でも、トレホ兄ィは仁王立ちしてるかニラミを効かせてるだけなんですよ。動きの速いアクション・シーンや、西部劇につきものの乗馬シーンは、ほとんどスタントマンがやっているようでしたね(ってか馬から降りるシーンなんてトレホ兄ィ、単にずり落ちてるだけだったよ…)。いやでも、動けなくてもいいんです。トレホ兄ィのカリスマ的鬼顔をバーンと正面に据えて、あとは『マチェーテ』みたいに周りがきちんと動いて盛り上げてくれればいいんですが、この映画ではそれがなってなかった、と思われるんですよねえ。まあ結局は監督の采配の拙さなのかなあ。