■デッド寿司 (監督:井口昇 2013年日本映画)
『片腕マシンガール』を撮った井口監督の「握り寿司が人間を襲う!」という限りなくナンセンスなバカホラーなんですけどね、いくらナンセンスったってセンスはいるだろっていうぐらい観ていてあれこれツライ、とてもとてもツラくなる映画でございましたよ。
一応武田梨奈ちゃんが主演で彼女はきちんと頑張っておりましたし、共演の松崎しげるもいい味出してました、なんですけれどもそれ以外の登場人物があまりに類型的で魅力の無いキャラばかりで、バカで下らないテーマであること以前にそういった部分で全然面白くなかった、そしてバカで下らないからこそ想像力次第でいくらでも面白くなりそうな題材を発展させられてないというのが残念でありました。
あとね、ゴアシーンは別に何とも思わないオレですけど口からシャリをゲロるシーンとか汚くて全然駄目だった。やっぱねえ、命はナンボでも粗末にしてもいいが食べ物を粗末にするのはイカンですよ!
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■イップ・マン 誕生 (監督:ハーマン・ヤオ 2010年香港映画)
ブルース・リーのお師匠、イップ・マンの半生を描いたドニーさん主演の『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』本当に面白かったですねえ、いやあれ最高だったわ。で、この『イップ・マン 誕生』なんですが、タイトル通り若かりしイップさんが詠春拳を極めるまでの描いているんですけど、ドニーさんは出ていなくて、代わりにデニス・トーという人がイップさんを演じております。まあルックスもアクションもドニーさんほどでは無いにしろ、小ざっぱりした顔つきのイイ男でありますね。
ただ、修行を積み友情や信頼を育むイップさん一門の伸び伸びとした幸せそうな雰囲気がなんだか牧歌的過ぎて中国共産党の大躍進計画のビデオでも見せられているみたいでつまんないんですよねえ、やっぱりドラマはこうした幸せがギタギタにされてナンボなんですよねえ、とか思ってたらやってきました、極悪民族大日本帝国の血も涙もない悪党どもが!戦争映画の悪役にナチスが欠かせないようにやはり大陸のほうの悪役として大日本帝国は欠かせないですよねえ、でもこの大日本帝国の皆さんただ暴れてるだけで何がやりたいんだかよく分かんないんです、悪党でいうとチンピラクラスばっかりで、鬼のような冷血無比さを感じさせないんです、これじゃあまだガキンチョでしかないイップさんに蹴散らされてもしょうがないです。これ、意外と日本に気を使ってたんじゃないでしょうか?
それと最初にサモハンが出てくるんですが、「あ、イップ・マンに出てたサモハン演じる悪役師範は昔はいい人だったんだ?」とか勘違いしちゃいました。
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■モンスター・ホテル (監督:ゲンディ・タルタコフスキー 2012年アメリカ映画)
モンスターといえば人を恐がらせるもんだと思っていたら、実はモンスターたちのほうが人間を恐がっていて、そんなモンスターたちの避難所として経営されているホテルが舞台のコメディ・アニメなんですな。一応製作総指揮と声優をアダム・サンドラ―がやっております。
で、このホテルのオーナーというのが吸血鬼なんですが、今まで外の世界に出たことの無い娘の吸血鬼が外の世界に興味を持ちはじめ、これをあれこれ策を弄して押し留まらせようとしていたところ、ホテルに人間の若者がやってきて、二人が恋愛モードに入っちゃったのでお父さんさあ大変、というお話です。
まあ親バカ物語をモンスターに当てはめただけの他愛のない物語なんですが、あれこれ設定に引っ掛かってノレませんでしたね。まず娘の吸血鬼とか言っているけど吸血鬼って生殖しないと思うし、娘の誕生日とか言っているけど吸血鬼は成長しないと思うし、そもそも「人間の血は吸わない」て、それなんなの?無害で人間的なモンスターに仕立てたいがためにモンスターとしてのアイデンティティ失ってるよなあ、これって「腐ったヒューマニズム」だよなあ、と斯様に思ってしまいました。トリッキーな動きをするモンスターたちの造形は面白かったけどね。
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