アメリカでも爆発的な人気を誇るゾンビTVドラマシリーズ『ウォーキング・デッド』のシーズン2を観ました。前回のシーズン1が全6話だったところをこのシーズン2では全13話、倍以上に長くなっていて、その分とことんゾンビが人肉啜る所を堪能できるかな、と思いましたが、どちらかというと愛憎や主義主張を巡る人間ドラマに比重を置いた展開になっていましたね。しかし長い分じっくり楽しめるのかというと、結構間延びした展開のように感じました。特に前半部分は「まだこんなことやってんの?」という展開の遅さにちょっとじれったくなったぐらい。原作で言うとシーズン1が原作チャプター1、シーズン2がチャプター2といった具合に対応していて、それにTV版独自のストーリー展開が加えられているんですが、そうだとしても同じ長さの原作を、シーズン1では6話で収めたところをシーズン2では13話で物語っているので、これは間延びするのも当然かもしれません。それにシーズン2の原作に無い独自展開自体も、随分引き伸ばされて物語れていたりするんですよね。
もともと『ウォーキング・デッド』はフランク・ダラボンが監督脚本その他を取り仕切っていましたが、シーズン2からは降板とか解雇とかいろんな話が出ていて(シーズン2第1話の演出はしていたという話もあり)、それの原因が局側との製作費削減を巡るいざこざだというんですね。そういった目で見るとこのシーズン2、全体的に舞台が限定されていて、確かにあんまり予算掛かってなさそうだなあ、と思えるんですよ。まあ低予算でも面白ければそれでいいんですが、舞台を限定することで展開それ自体も間延びしちゃったんじゃ元も子もないですよね。この物語内容であればシーズン1のように全6話でも十分詰め込めると思うし、全13話でやるんなら物語をもっと詰め込んで原作日本語版2巻の○○編中盤までは入れられたような気がするなあ。その○○編はシーズン2最終章ラストでチラッと姿を見せますが、ヒキの強さという意味ではこの構成もあながち間違ってはいないともいえるんですよね。さらに視聴率的に言うならかなりの大成功を収めているらしく、一般視聴者にはこのぐらいの展開で丁度よかったりしたのかなあ、とも思えました。
物語的には、主人公が指導者として様々な決断を強いられ、その決断に賛成できないコミュニティのメンバーとの対立や軋轢が描かれてゆきます。こういった少人数のコミニュティで全体の生死が関わっている場合、指導者はどうしても民主主義的であることよりも独裁者へと近づいてゆく、というのが妙に納得できてしまいますね。しかし個人的にはこの主人公と対立を深め暴走してゆく主人公の親友のほうに心情的に惹かれてしまいます。彼はある意味冷徹ですが、生死を賭けた状況の中では冷徹であることも必要なのではないのかと思うのですよ。そしてこの二人の決断したことによる結果というのは、実は決断の内容ではなく運でしかなかったとも思えるんですよ。まあ物語的には冷徹な指導者よりも家族的な指導者のほうが受けるでしょうけどね。
○参考:『ウォーキング・デッド』シーズン2を観ました- THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACRE
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