ボンクラ系アメコミヒーロー『デッドプール』参上!

デッドプール マーク・ウィズ・ア・マウス / ヴィクター・ギシュラー(作)ボン・ダゾ(画)高木亮 (訳)

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)
不死身のヒーロー!金髪ヒロイン!二刀流!宇宙船!ゾンビ!恐竜!蛮族!パラレルワールド!…とボンクラな中学生があらんかぎりの妄想と劣情を徹夜でキャンパスノートに書き殴ったようなコミック、それがこの『デッドプール マーク・ウィズ・ア・マウス』でございます。一応アメコミのハシクレであるようで、アイアンマンやらスパイダーマンやらX-メンやらを擁するマーベル・コミックのヒーローなんですな。これらのマーベル・ヒーローと比べると新しめのヒーローなんですが、なんでもあちらの国では先輩ヒーローに匹敵するぐらいの人気があるそうなんですな。
このデッドプール、一言でいうなら「滅法強いオチャラケヒーロー」という事が出来るでありましょうか。もともと傭兵だった主人公がウルヴァリンを生み出した「ウェポンX計画」と同じ超人兵士計画の実験により、ウルヴァリンと同等の超回復能力を持つことになったんですが、紆余曲折経てオチャラケなスーパーヒーローと化したということらしいんですな。この『マーク・ウィズ・ア・マウス』しか読んでいませんが、言うなればマーベルのお笑い担当ということでしょうか。まあここに至るまでにはシリアスで凄惨な物語もあったのだろうとは想像しますが、少なくともこの『マーク・ウィズ・ア・マウス』ではぺちゃくちゃと軽口ばっかり叩いているお調子者として登場してるんですな。
で、今回のコミックでこのデッドプールの相棒となるのが「ヘッドプール」と呼ばれるゾンビの首なんですな!首だけなんですがゾンビだから生きている!いやゾンビだから死んでいるんですが、ええと要するに「首だけゾンビ」として登場しているわけですよ。しかも、このゾンビの首は、主人公デッドプールがゾンビ化した首なんですよ。え?ちょっと待って?デッドプールはゾンビじゃなくて普通に生きているのに、そのデッドプールのゾンビの首ってどういうこと?それって豊臣秀吉の14歳の時の骸骨って言ってるみたいな話じゃん?と思われるかもしれませんがちょいと説明を。
つい最近日本でも翻訳された『マーベル・ゾンビ―ズ』というコミックがありましてですね、これはアイアンマンやらキャプテンアメリカやらハルクやらのマーベル・ヒーローがゾンビになって人類に襲い掛かる!という大変楽しい滅茶苦茶なお話なんですが、このゾンビ・ヒーローたちが並行宇宙を転移してうんちゃらかんちゃらしていた挙句に、ゾンビじゃないデッドプールのいる宇宙に首だけゾンビのヘッドプールが紛れ込んだ、ということなんですな。で、お話は、このヘッドプールの持つゾンビ菌(?)の軍事利用を狙うある組織が、ヘッドプール回収の為にデッドプールを蛮族はびこる未開の惑星に派遣する、というところから始まるわけなんでありますな。ああなんかややこしい。
しかしそこはぼんくらオチャラケヒーロー、お話がすんなり進むわけがない。未開の惑星で出会った金髪ムチムチのメガネ美女に劣情をたぎらせ、彼女と共にヘッドプールを回収するものの、次から次へと無茶な戦いに巻き込まれ、さらには平行宇宙を転々とし、マーベル・ヒーロー同士が戦っているシビル・ウォーの宇宙(ここではちょこっとキャプテン・アメリカが登場します)、そしてヒーローたちがゾンビと化したゾンビバースの宇宙へと舞台を移していくというわけです。そしてこの熾烈な戦いの連続の中でも、デッドプール+ヘッドプールのコンビは相変わらず軽口ばっかり叩いてオチャラケており、オチャラケているくせに滅法強かったりするんですな。もちろん成人女子を見つけると鼻の下を伸ばすことはしっかり忘れていません。
というわけでハチャメチャヒーローの戦いの行方は!?といった感じでお話は続くのですがこのデッドプール、確かに他のマーベルヒーローたちと違って歴史が浅い分背負いこむものも無くて、その性格と同じくノリもお話も軽く軽快なのが人気を掴んだ秘密なのだろうな、と思いました。ちなみにこのデッドプール、実は映画『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』でも登場してるんですが、あまりにも原作キャラとかけ離れているんで相当不評だったようです。再度スクリーン登場の噂もちらほらあるようですがどうなんでしょうね〜。

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)

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