スーパーヒーローは皆殺し〜『デッドプール/パニッシャー・キルズ・マーベルユニバース』

デッドプールパニッシャー・キルズ・マーベルユニバース / カレン・バン、ガース・エニス、ダリバー・タラジッチ、ドギー・ブレイスウェイト

デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース (MARVEL)

無数の存在する多次元世界。その一つ一つに固有の物語が存在する。数ある世界の中には、無敵のマーベルヒーローが無残な最期を迎えた世界も少なくない。そして、ここにもそんな世界が二つ…。一つは、デッドプールが己が存在の真の意味を見出した世界…。そしてもう一つは、パニシャーがヒーロー達への復讐に駆られた世界…。デッドプールとパニシャー、二人の怒りの前に、マーベルユニバースは崩壊の時を迎える…。マーベルヒーローは皆殺しだ!コミックスの常識を遙かに超えた内容で大反響を呼び起こした二つの問題作が奇跡のカップリング!

そのガース・エニスによるもう一つの「ヒーロー殺し」の物語がこの『デッドプールパニッシャー・キルズ・マーベルユニバース』である。正確に書くならこの単行本には『デッドプール・キルズ・マーベルユニバース』と『パニッシャー・キルズ・マーベルユニバース』の2作が収められており、ガース・エニスが原作担当したのは『パニッシャー〜』のほうだ。一方『デッドプール〜』はカレン・バンの原作となる。
どちらにしろ物語はデッドプールなりパニッシャーなりが、次々とマーベル・ヒーローたちをぶち殺してゆく、というものだ。アイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカスパイダーマン、その他その他、映画『アベンジャーズ』シリーズでもお馴染みであり絶大な人気を博するヒーローたちが、惨たらしく殺されてゆくのである。
なんでもマーベルヒーローを擁する多次元宇宙のひとつとして描かれた作品であり、要するになんでもありということらしい。まあマーベルヒーローコミックを読みまくっている方なら変化球の一つとして楽しめるだろうが、よく分からずにこれだけ1冊読んじゃったら、楽しめるかどうかは分からない。とはいえオレは割と楽しめた。最強不死身である筈のヒーローがどのような方法で殺されるのか?というのが面白いのだ。
そんな中ガース・エニス原作の『パニッシャー〜』は、ヒーローの中ではほぼ人間であるパニッシャーが主人公であるといった点でガース・エニスぽいのかもしれない。ここでパニッシャーは狂った怨嗟の中ヒーローたちを血祭りにあげてゆくのだ。この辺のルサンチマンの在り方もやはりガース・エニスらしさなのだろうか(詳しくないから断定しない)。

デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース (MARVEL)

デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース (MARVEL)