低予算ゾンビ映画『コリン LOVE OF THE DEAD』は低予算なりの映画であった

■コリン LOVE OF THE DEAD (監督:マーク・プライス 2008年イギリス映画)


インディーズ・ムービーというのはメジャー映画とは違うインディーズならではの切り口が面白かったり低予算を逆手に取った面白さで勝負してみたりするもんなんだろうが、「インディーズにしてはがんばった」とか「インディーズなんだから(未熟でも)しょうがない」といった判官贔屓な見方をしてしまう側面もあって、評価する時にちょっと考えてしまうことがある。結局好意的に観れるか観れないか、という部分で面白がれるか面白がれないかが別れちゃったりするんだよな。表現のしかたは未熟だがやりたいことは伝わってくる、というのとやりたいことは分かるけど表現のしかたが未熟、っていうのは同じことを言っているようで観ているものの印象が良いか悪いかの分水嶺になっているんだと思う。
恐るべき低予算(45ポンド。日本円で6000円弱)で作られ話題になったインディーズ・ゾンビ映画『コリン LOVE OF THE DEAD』は、そういった意味では楽しめない映画だった。まずぶれまくるカメラがダメだった。ゲームといえばFPSばかりやっていて、POV視点の映画に酔うことなんか考えられないオレでさえ、この映画の手振れの酷さにはさすがに気持ち悪くなった。そしてアップ画面ばかりが続くカットも息苦しい上に登場人物の位置関係がまるで把握できずに苛立ちまくった。こういった部分は予算とは何にも関係ない映画を撮るという事においての配慮な訳だから、こういった部分が拙いのがいただけなかった。
物語はゾンビになってしまった者の視点から描くという斬新なもので、基本的に思考力も無くケダモノ以下になってしまったゾンビという存在を主人公に据えドラマを組み立てるのは難しかったのではないかと思う。そこでとりあえずあちこち徘徊させてゾンビ出現に慌てふためく人々を間接的に描いたりとか、かつての家族を登場させたり人間だった過去をオーバーラップさせたりと、工夫しているわけだが、描き方が全て冗漫で、観ていて飽きてくる。というか最初の5分で飽きた。言ってみれば本当に「仲間内で作った自主映画」で、そういった面では楽しそうに作ってあるし、無難にまとめてあるが、しかしそれに97分付き合わされるのはちょっと勘弁してもらいたい、というのが正直なところだった。

コリン LOVE OF THE DEAD スペシャル・エディション [DVD]

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