映画『リセット』は人間集団消失を描いたSFドラマだ!

■リセット (監督:ブラッド・アンダーソン 2010年アメリカ映画)


「人間消失事件」というのはUFOや心霊写真やネッシーと並び、子供時代大好物だったオカルト話の一つだった。「マリー・セレステ号事件」なんていうのが一番有名だが、この船は無人のまま漂流していたところを発見され、それが何故遺棄されたのか、乗組員はどこへ行ったのか皆目分からず、永らく航海史上の謎として語られていた。あと中国だか東欧の村人が一夜にして全員消えた、という話も読んだことがあるな。
こんな具合に「人間消失事件」は理由も無く不可解な状況で人間が(しかも多くは集団で)消失してしまう謎めいた事件を指しているのだ。場合によっては「目の前で消えた」なんていう目撃例があったり、消失して暫く経ってからあまりにも離れた土地で消失した人物が見つかったりする。そしてこういう現象が書かれたオカルト本をすわ4次元だ!次元断層だ!とわくわくしながら読んでいたものである。まあ今じゃ普通に眉唾話だって分かってるけどね!
フィクションでもこういった「集団消失」は多く描かれていて、自分の記憶では小松左京の『こちらニッポン…』なんている小説があったな。これはある日突然街から自分以外の人間が全て消えてしまうというお話だ。あとかなりマイナーだが高山和雅の『ノアの末裔』という長編コミックも「集団消失」を描いて実に好きな漫画だった。こんな具合に「消失」というのはどうも想像力を掻きたてるものがあり、自分もたまに「世界から自分以外の人間が全部消えてしまったら」とか妄想することがあるなあ。それは案外自分自身が消え去ってしまいたいっていう気持ちの裏返しだったりするのかなあ(おいおい)。
さてこの映画『リセット』も「集団消失」のお話だ。ある日突然の停電と共に街中の人々が衣服だけ残してみんな消え去ってしまうんだ。そんな中で消えずに残っていた人々はお互いに身を寄せ合うのだが、この「集団消失」は、どうも"闇"が大きな鍵になっていることに気付くんだ。そしてその"闇"は生き物のように残された人々にひたひたと忍び寄り、"闇"に捕まれたものは消え去ってしまう。そして何故だか日照時間もどんどん短くなり、"闇"を退けるために点けられたライトもどれも短い寿命で消え去ってしまう…。残された人々は発電機で明かりの灯ったバーに立て篭もるが、"闇"の凶手はじわじわと彼らに忍び寄ってゆくんだ。
ヘイデン・クリステンセンジョン・レグイザモが主演していて、オレなんかはヘイデン・クリステンセンはSWの人だからどうしても贔屓目に見てしまうな!映画としては若干テンポが緩い気がするけど、いわゆる「ミステリー・ゾーン」的なB級SFの乗りは結構好きだったよ。ただこの映画、『アラン・ウェイク』ってゲームとどうにも似てるんだよなあ。最初はタイアップかと思ったぐらいだったもの。なんでこんなに似てたのかな。

リセット [Blu-ray]

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こちらニッポン… (ハルキ文庫)

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ノアの末裔

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