『ALAN WAKE』はホラー・ファン必見必プレイのゲームだッ! (Xbox360)

ALAN WAKE (Xbox360)


スランプに陥り静養のために湖のある小さな町へとやってきた作家アラン・ウェイクとその妻。しかし妻は突然失踪し、アランには影の形をした謎の存在が襲ってくる。からくも警察へ駆け込んだアランだが、そこで彼は妻とともに泊まったはずの湖畔のコテージがそもそも存在していなかったことを知る…。霧の立ち込める奥深い森、夢とも現実とも付かない夜の闇の中をどこからともなく現れ襲いかかる邪悪な影。彼らは一体何者なのか、妻の行方はどこか、そして、自分は何故襲われなければならないのか。Xbox360のアドベンチャー・ホラー・アクション・ゲーム『ALAN WAKE』はこうして始まる訳であります。
オープニングがまずスティーヴン・キングの引用から始まり、作家が主人公というキング小説ではお馴染みの設定、舞台がキング小説を思わせるアメリカの片田舎、「俺はお前の小説の登場人物だ!」と名乗る闇の存在が襲ってくるところなんざ『ダークハーフ』そのもののキング展開、とまあキングづくしのそのストーリーにオレのようなキング・ファンは狂喜乱舞のゲームであります。しかも第1章のラストでは映画『ブルーベルベット』でも使われた挿入曲『眠りの精はお菓子のピエロ』が流れるんですな!即ちこの『ALAN WAKE』、デヴィッド・リンチまで混ざってるというわけなんですよ!物語の悪夢とも現実ともつかない不条理展開なんざ確かにリンチ映画!邪悪なものが潜んでいるかのような夜の森はあたかも『ツイン・ピークス』のよう!おいおいなんかスゲえゲームじぇねえかこれ!?
ゲームは殆ど真っ暗な森の中が舞台で、そこを目的地目指して進むことになるんですが、この森の木々や植物、山並みや崖の下を流れる川などのグラフィックが非常に美しく描写されており、それらを照らす懐中電灯や街灯などの光線処理も実にリアルで、あたかもプレイヤー自身が森の中にさ迷い込んだように心細さや不安感が湧いてくるんです。いや、夜の森、怖いって。で、そん中からモヤモヤした人間の影みたいな連中が襲ってくるんだから堪ったもんじゃありません。この得体のしれない敵と戦うために必要なのが光で、主人公はまず懐中電灯で敵を照らし弱らせてから拳銃で撃って倒す、という戦闘システムがユニークですな。あと危なくなったら街灯の下に逃げ込むとかね。発煙筒や閃光手榴弾では相手を一撃で倒せたりします。
製作はフィンランドのRemedy Entertainment、映画化もされたゲーム『Max Payne』でも有名ですが、『Max Payne』もアクション・ゲームながら妙に悪夢っぽい展開が特徴的でしたな。製作に5年の歳月をかけたというゲーム『ALAN WAKE』、確かに非常に重厚に作られた風格あるアドベンチャー・ゲームでありますよ。ホラー映画、ホラー小説ファンにもぜひゲーム機ごと買ってプレイしてもらいたいですな。