ビン・ラディンがゾンビになって襲ってくる!?〜映画『オゾンビ』

■オゾンビ (監督:ジョン・ライド 2012年アメリカ映画)


助手「ありゃありゃ、博士またゾンビ映画観てるんですか。ゾンビ映画飽きたっていうのは嘘だったんですか」
博士「待て待て。この映画、なんとあのオサマ・ビン・ラディンがゾンビになって襲ってくるという、香ばしいまでの一発ネタで作られたゾンビ映画なのじゃ」
助手「はー。ホントにトンデモ系ですね。ゾンビ映画ってもうキワモノやるぐらいしか残されてないんですかねえ。しかしタイトル『おゾンビ』って、いったいゾンビを丁寧に言ってどうなるっていうんですか」
博士「ちゃうちゃう。オサマとゾンビを掛け合わせて『オゾンビ』というわけなのじゃ」
助手「おお、ビン・ラディンがアメリカ軍に暗殺されちゃう冒頭は見事に『ゼロ・ダーク・サーティー』のラストと一緒ですね。このまま『ゼロ・ダーク・サーティー2』とか言って公開しても騙されて観に来る人がいるかもしれませんね」
博士「おらんおらん」
助手「で、やっぱりただでさえ老い先短い人生の時間をとことん無駄にしたとしみじみ思わせ歯軋りと涙の止まらないサイテー映画だったんでしょ?」
博士「いや、確かに「さてどんだけ突っ込んでやろうかの」と思ってわくわくして観始めたのじゃが、なんとこれが、予想に反して意外と頑張って作られているゾンビ映画での」
助手「トンデモネタ映画のクセに生意気ですね」
博士「ゾンビ化したビン・ラディンを捜索をする為アフガンに派遣されたアメリカ特殊部隊と、911で多くの仲間を失い復讐の為に単身アフガンに乗り込んだ元消防士と、その元消防士の消息を追ってやってきた元消防士の妹が登場人物なんじゃが、これがどれもキャラが非常によく立ってての。特殊部隊の主人公がコリン・ファレル似で、これがなぜかすぐ脱ぎたがる、という変なキャラなのじゃ。それと特殊部隊の女兵士は刀を振り回してゾンビをやっつける金髪美人で、さらに元消防士の妹さんというのも落ち着いた黒髪がなかなか悪くない美人ちゃんで、わしはどっちの美人ちゃんを選べばいいのか悩んでしまったぐらいじゃ」
助手「選ぶって、何をですか」
博士「妄想の中のわしのヨメじゃ」
助手「…で、最終的にコリン・ファレル似を選ぶことにしたわけですね博士!」
博士「…(ポッ)」
助手「…(マジかよこのオッサン!?)」
博士「ゴホン。映画自体は独特のユルイ雰囲気で描かれておって、まあダレるっちゃあダレるんじゃが、ダレつつもどうでもいい無駄話をグダグダしており、この無駄話がタランティーノ映画っぽくていいのじゃよ。まあちょっと褒めすぎじゃが」
助手「僕と博士のこの映画レビューもグダグダの無駄話ですけど、タランティーノ映画のタの字も無いですね」
博士「ほっとけ。で、登場人物たちが常に別行動だったり二手に分かれたりしておって、これにより常に様々な視点で物語が進行しているのじゃ。あと、ゾンビというのがみんなもともとタリバン兵とかアフガンのいたいけな農民の皆さんなので、イスラームな出で立ち・顔つきのゾンビ、というのが新鮮だったの。これはゾンビがみんなアフロ・アフリカのみなさん、という『ゾンビ大陸アフリカ』と似たエキゾチズムが漂っておったぞ」
助手「ゾンビはもうあらゆる人種と国家を網羅してますね。エスキモーゾンビとかもあったりするんですかね。探すとホントにありそうだから怖いなあ」
博士「さらに舞台が戦地だけにアメリカ特殊部隊とタリバン兵との銃撃戦もきちんと描かれておるのじゃ。まあ低予算なりの映画なのじゃろうが、そういったいろんな点で頑張ってるなあ、と思えてな、思ったより見ごたえあったわい」
助手「コリン・ファレル似の裸体が一番見ごたえあったんですよね?」
博士「…(ポッ)」
助手「…(絶対転職してやる!)」

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