ゾンビの住んでる死の町は楽しい楽しい屍の町!〜映画『ゾンビランド』

ゾンビランド (監督:ルーベン・フライシャー 2009年アメリカ映画)

ゾンビ映画花盛り!

ゾンビ映画ゾンビランド』でございます。例によってゾンビの皆さんが大発生、人類の文明は大崩壊、そんな中主人公のひきこもり童貞少年コロンバス君は小心者の保身の強さ故に逆に雄々しく生き残っていたんですな。コロンバス君は両親のいる町へと帰ろうとするのですが、道中ムキムキのタフガイ:タラハシーや一癖も二癖もある詐欺師姉妹ウィチタ&リトルロックと出会い、ゾンビがいないと噂される遊園地「パシフィックランド」をなぜか目指すことになる、というお話であります。

それにしても最近は『サバイバル・オブ・ザ・デッド』、『ザ・ホード 死霊の大群』、そしてこの『ゾンビランド』とゾンビ映画が立て続けに公開され、ゾンビ映画ファンとしては嬉しい限りであります。しかしこれだけゾンビ映画も作られるとその内容も様々で、この『ゾンビランド』はコメディ・タッチのゾンビ映画なんですな。しかもかなりライトな作りな上にラブコメ要素まであるんです。例えば『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ゾンビーノ』あたりもコメディ・タッチのゾンビ映画でしたが、この『ゾンビランド』はゾンビとコメディの割合が1:9ぐらいになるでしょうか。だから血塗れで追っかけてくる怖いゾンビも一応出てきますが、物語のメインとなるのは文明崩壊後の世界で出会った登場人物たちのドタバタと人間ドラマになるんです。

■なかなかに楽しいキャスティング!

で、この映画の主人公であるひきこもり童貞少年コロンバスを演じるのが、日本では劇場未公開DVDスルー作品ながらなかなかに秀作だった青春コメディ『アドベンチャーランドへようこそ』の主演だったジェシー・アイゼンバーグ君であります。それにしてもこのジェシー・アイゼンバーグ君、『アドベンチャーランド〜』でも童貞少年を演じておりまして、今やハリウッドで童貞少年演じさせたら彼の右にでるものはいない、と言えるかもしれませんな!しかも『アドベンチャーランド〜』も遊園地が舞台、なんだか奇妙な被り方で可笑しいです。

詐欺師姉妹の姉のほうが『スーパーバッド 童貞ウォーズ』『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』のエマ・ストーン。この2作も日本では劇場未公開ながら良質なコメディで、エマさんは米コメディ映画界では引っ張りだこのようですな。そして妹役が『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリン、いやー、『リトル〜』の子役だった時しか知らなかったけど大きくなったね!ムキムキマンタラハシーを演じるウディ・ハレルソンもあれこれ端役で出ていた映画は観ていたはずなんですがあんまり印象に残ってなくて、逆にこの『ゾンビランド』が代表作になるんではないか、と勝手に決め付けることにしました。

■遊園地でゾンビと戦え!

映画はヘナチョコ男子のコロンバス君とマッチョなタラハシーの凸凹コンビの珍道中だけでも楽しいのに、ここに"他人なんか絶対信用しない!"とうそぶく詐欺師姉妹が絡み、彼女らが年若いのになかなかの悪女振りを見せるのがまた笑わせてくれるんです。しかし他人を信用しない、深く関わらない、というのは実はこの4人全員に共通したことで、それは「もしも相手がゾンビになっても苦しい思いをしないように」ということが理由なんですね。それが最後のゾンビ戦で互いを信じ深く関わっていこうとする態度を見せるところにこの映画の面白さがあったりします。すなわち、実はこの映画、ルールの瓦解した世界で心に傷を持つ見知らぬ者どうしが出会い、新しい家族として再び心を繋ぎ合う、といった結構今日的なテーマも孕んでいるんですね。

クライマックスは遊園地を舞台に、遊具を駆使したゾンビとの戦いが繰り広げられてこれがまた楽しかった。しかしなにより一番可笑しかったのは本人役で出たビル・マーレーさんでしょうか!このビルさんがどんなシチュエーションでどんなことやらかしてくれるのか、それを観るだけでも価値のある映画ですよ!しかしビルさん、演じてて楽しかっただろうなあ!勿論あの有名映画のネタやってくれてます!

ゾンビランド 予告編


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