■エイリアン・ビキニの侵略 (監督:オ・ヨンドゥ 2011年韓国映画)
ダサくてキモくて非モテだがテコンドーだけは初段の腕前の30歳の童貞男が誰も頼んでないのに都市警備員とか勝手にぬかして町を警備している最中に、あろうことか悪漢らしき男たちに追われる美女を発見、コイツの人生で唯一つ自慢出来るテコンドーで悪漢たちを撃滅、ついでになりゆきで美女をアパートに連れて行ったらなんだか変な雰囲気になってモヤモヤドキドキ、すっかり相手はその気だしそのままやっちゃえばいいのにこのバカ野郎ときた日にゃあ「ボクの30年間守り通してきた童貞が奪われちゃう!これじゃいけないボクにはそんなことできましぇん!」とか言い出したら相手の美女は本当の正体を現したんだけどなんとそれは男の精子を奪って地球侵略を企むエイリアンだったッ!?…という荒唐無稽なお話、まあメチャクチャといえばメチャクチャなんですがオレはとても楽しく観る事が出来ました、不細工なくせに少女のように恥らう童貞青年がなにしろ可笑しい、ドギマギして訳の分かんないこと言ったりやったりしちゃうところがまた可笑しい、しかしそんな童貞青年をその気にさせようと積極的なエイリアン美女の色っぽさがこれまたいい、映画観ていてなんだか自分がエイリアン美女に口説かれているような気にさせられてドギマギドギマギモヤモヤドキドキしてしまう演出がとってもいい、そういう「独身アパートどくだみ荘」的な展開が、主人公青年の奥手でグズな人物造形も含めて実に面白い、しかし映画はその後暴力が吹き荒れる大スプラッタ大会になるんだけど、最初青春コメディだった筈のものが血まみれの狂った世界に行ってしまう、この展開は確かに異様だが逆にこの異様さ、アンビバレンツの在り方がこの映画を興味深いものにしている、確かに性のエクスタシーと暴力のエクスタシーはどこかで繋がっているとも言える、さらにコメディと暴力はやはりどこかで繋がっているとも言える、これらを一つの映画でやってしまったこの作品の監督は決まり事に囚われない自由な発想がその根底にあるのだと思う、そういった意味でメチャクチャでチグハグではあるけど人間の精神のレイヤーに存在する矛盾しつつも統合された行動を映像にしたとも言える、まあ監督はそんなこと考えてないとは思うが、総じてきっちりサービスしながら自分の作りたいものも作っているインディ映画の良作だと思いました。
- 発売日: 2012/04/11
- メディア: Blu-ray